市場が期待する「ソフトランディング」が見えてきた?
では、米国経済は今後どうなるのだろうか。市場が期待する「ソフトランディング」(軟着陸)が見えてきた、と明るい展望を示すのが、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏はリポート「2023年8月ジャクソンホール会議レビュー~パウエル発言の要点整理」(8月28日付)のなかで、今後の経済重要イベントと注目点の【図表2】を紹介しながら、こう説明する。
「パウエル議長は、やはり政策の方向性をあらかじめ示すことはありませんでしたが、ややタカ派的なトーンを交えつつ、追加利上げと据え置きはデータ次第で決める方針が改めて確認されました。
弊社(=三井住友DSアセットマネジメント)は米金融政策について、11月に0.25%の最後の利上げが行われ、来年(2024年)7~9月期に利下げの開始を予想しており、米経済の軟着陸(ソフトランディング)を見込んでいます。
「このシナリオでは、急激な米長期金利の上昇と大幅なドル高・円安の進行は回避され、株式市場にも好ましい環境が期待されます。なお、FRBがデータ次第としている以上、この先、雇用や物価関連の指標に市場が大きく反応することもあり、注意が必要です【図表2】。
また、9月のFOMCでは、最新の経済見通しなどで今回の講演よりも詳細な政策方針が確認できると思われ、いつも以上に注目が集まるとみています」
(福田和郎)