マイナビ(東京都千代田区)は8月28日、2024年卒業予定の大学生・大学院生1748人を対象とした「マイナビ 2024年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況」を発表した。
調査によると、就活生の関心の高かったニュースワードには「初任給アップ」22.2%、「テレワーク、リモートワーク、在宅勤務」20.0%、「働き方改革」18.2%で、企業の安定性や社会変化への順応性を評価する基準として活用していたという。
また、流行った就活用語を聞いた質問では「ノーサー、ノーゼミ」(サークル・ゼミに無所属の就活生)、「時短就活」(タイムパフォーマンスを重視した就活)、「我究」(自己分析のこと)などが上がり、タイムパフォーマンスを意識した就活や、コロナ禍でサークルやゼミ活動のできなかった学生時代の世相を反映する結果になった。
内定後の不安「本当にこの会社でいいのか?」感じた就活生51.0% 前年より1.0%減
この調査は2023年7月25日から31日までの間、2024年卒業予定の全国の大学生および大学院生にウェブ上のアンケートフォームを通じて行われた。有効回答数は1748人で、内訳は文系男子278名、理系男子444名、文系女子529名、理系女子497名となった。
はじめに、入社予定企業を決定したあとに不安になった学生を調べたところ、「本当にこの会社でいいのか」と、不安を感じた学生は前年比0.9ポイント減の「51.0%」となった。
不安を感じたことがある学生(n=731)に対して、出社までに不安は解消されたかを聞くと、「64.7%」の学生が不安を抱えたまま出社日を迎えていることがわかった。前年比では7.0ポイントの増加になる。
「もしこうだったら『この会社でいいのか』という不安は解消されたのに」と思うことを聞いた質問では、不安を解消できたかもしれないと思う支援策では、「待遇面で不満が解消される」(22.4%)が最多。次いで、「その仕事を一生やっていけそうだと思える」が(18.9%)、「配属部署がある程度わかる」(18.5%)という順になった。
また、一方で事前に必要な知見や技術、経験のほか、勤務時間、勤務地などの勤務条件についても採用前に提示し、合意したうえで雇用契約を結ぶジョブ型雇用に応募した学生は「12.9%」で前年比1.0ポイントの上昇となった。
さらに、入社予定先を決めている学生でジョブ型雇用だった学生は「7.7%」で前年比1.1ポイントの上昇だった。
一方で、入社予定先総合満足度を5段階で評価した場合、ジョブ型雇用の学生の満足度は5(最高)の割合が「63.4%」となり、そうでない雇用形態の学生の「51.0%」より12.4ポイント高かくなる結果が出た。入社予定先がジョブ型雇用だった場合、満足度は高い傾向にあるようだ。
就活生が気になったニュースワード「初任給アップ」「リモートワーク」「働き方改革」 企業の柔軟性を計る指標に
さてここで、24年新卒が就職活動に影響したニュースワードを聞いた。1位は「初任給アップ」(22.2%)。2位は3年連続で「テレワーク、リモートワーク、在宅勤務」(20.0%)、3位は「働き方改革」(18.2%)、4位は前年まで3年連続1位だった「新型コロナウイルス感染症」(18.0%)だった。
選んだニュースワードが就職活動をどのように影響を与えたかでは、寄せられたコメントによると、「企業の安定性や社会変化への順応性を評価する基準として、初任給アップが実現できているかどうか」などを判断しているという。
一方で、就活生の間で流行った就活用語について聞いた。その結果、1位は「ガクチカ」で、19年卒以来5年ぶりの1位となった。24年卒の学生は入学時からコロナ禍で、「ガクチカがない」と話題になっていたそうだ。このほか、「NNT」(無い内定)や「オワハラ」、「終活」など、特徴的な言葉があらわれている。
また、ランク外でもランク外には、「ノーサー、ノーゼミ」(サークル・ゼミに無所属の就活生)、「時短就活」(タイムパフォーマンスを重視した就活)、「我究」(自己分析のこと)、「サンクコスト」(資格取得できなかったことにかかった年月を揶揄すること)などユニークな言葉も出ている。
調査元では今回の調査を以下のように振り返っている。
「入社予定企業を決めたあとに不安になったことがある学生は前年比0.9ポイント減の51.0%だった。そのうち不安が解消されていない割合は64.7%で、前年に比べて7.0ポイント増加した。
不安が解消されない学生に『もしこうだったら不安は解消されたこと』を聞いたところ『待遇面で不満が解消される』(22.4%)の割合が前年より6.6ポイント増加し最も高かった。
日本の低賃金や、初任給アップのニュースに影響されてか、自身の入社予定先の待遇面が問題ないか不安を感じる学生が増えたと推察される」