近鉄百貨店株、8.6%高...最終利益が減益予想から一転、増益見通し 円安を背景に、インバウンドの消費回復で恩恵

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   近鉄百貨店の株価が2023年8月23日の東京株式市場で一時、前日終値比207円(8.6%)高の2628円まで値上がりした。

   前日22日に2024年2月期の業績予想を上方修正し、最終利益が減益から一転して増益を見込む内容だったことを投資家が好感した。インバウンド(訪日外国人)の増加への期待も後押ししており、その後も株価は値を崩していない。

最終利益は従来予想比11億円増の26億円、前期比37.3%増へ 外国人が訪れやすい関西圏での出店も強みか

   上方修正の内容を確認しておこう。売上高は従来予想より20億円増の1127億円(前期比4.5%増)、営業利益は従来予想比13億円増の43億円(前期比約2.8倍)、最終利益は従来予想比11億円増の26億円(前期比37.3%増)。最終利益については従来予想が前期比20.8%減だっただけに、2桁減から2桁増へ転換する。

   近鉄百貨店は「新型コロナの5類感染症への移行により外出機会が増加し2024年3~5月期(第1四半期)は好調に推移したが、第2四半期も引き続き好調で業績予想は前回発表を上回る」としている。

   百貨店業界は円安を背景にインバウンドの消費回復の恩恵を受けており、近鉄百貨店も例外ではない。3~5月期においても宝飾品などの高額品が好調で、インバウンドの消費意欲が底上げした。

   ちなみに、関西が地盤の近鉄百貨店は、あべのハルカス近鉄本店(大阪市阿倍野区)を旗艦店として奈良、滋賀、三重各県を含めて10店舗を展開している。日本の中でもインバウンドが訪れやすい地域といっていい。

コロナ前に戻りつつある訪日外客数 8月解禁の中国は「伸びしろ」ある

   日本政府観光局(JNTO)が8月16日に発表した7月の訪日外客数は、2019年同月比77.6%の232万人となった。

   コロナ前の8割に迫り、200万人を突破した前月からさらに12%ほど増えた。中国を除いた総数では、2019年同月比103.4%とコロナ前を超えている。

   見方を変えれば、中国はまだ「伸びしろ」がある状態だ。

   そんななかで中国政府は8月10日、日本や米国など世界78か国・地域への団体旅行を約3年半ぶりに解禁しており、中国から世界への旅行者が増える見込み。

   福島第1原発の処理水の問題などもあり、足元で日中関係はやや微妙とはいえ、10月の中国の連休などに相当数の訪日客があることが予想されている。

   近鉄百貨店における消費も期待されており、当面は株価が堅調に推移する可能性がありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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