退職者がオススメ「辞めたけど良い企業、中小ベンチャー30社ランキング」...共通点は、社長と社員がホンネで言い合える「どうする家康」文化

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   近年、転職者が増加している。スキルを磨いて次の転職に備える若手が多くなり、会社は「定年まで勤め上げる場」ではなく、自分を育むステップの1つにすぎなくなったのだ。

   そこで、就職・転職のジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が、会員ユーザーの口コミ投稿から調査した「退職者が選ぶ『辞めたけど良い企業ランキング』」【中小ベンチャー企業編】を、2023年8月22日に発表した。

   大企業を取りあげた2023年8月24日付「退職者がオススメ『辞めたけど良い企業、外資・日系30社ランキング』...共通点は若手育てて送り出す『卒業文化』、合言葉は『やりたいことは何?』」(J-CAST 会社ウォッチ)の続編だ。

   「卒業生」から高い評価を受けた少数精鋭会社には、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の徳川軍団に通じる企業風土があるという。それは、どんな魅力か?

  • あの会社で働いて本当によかった(写真はイメージ)
    あの会社で働いて本当によかった(写真はイメージ)
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コンサル、IT、飲食、アパレル、人材支援...盛りだくさんのユニーク企業

   OpenWorkは、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先の企業や官庁など職場の情報を投稿する国内最大規模のクチコミサイト。会員数は約580万人(2023年7月時点)という。OpenWorkでは、企業の評価を「待遇の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」など8つの項目を5段階で評価している。

   今回の調査では、投稿された社員クチコミのうち「退職者」による評価に着目し、退職者からの評価が高い企業を集計した。大企業とは異なる中小企業やベンチャー企業の魅力と特徴を探るために、従業員数が300人未満の企業に限定して、退職者からの評価が高い企業を集計、ランキングを作成した。

   調査の結果、1位はベンチャー投資・育成やスポーツビジネス支援が中心のスカイライト・コンサルティング(東京港区)、2位は米国系ITコンサル会社のケンブリッジ・テクノロジーズ・パートナーズ(東京港区)、3位は人材支援が中心のアクシスコンサルティング(東京千代田区)と、上位3社はコンサルティングが占めた【図表1】。

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(図表1)退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング」トップ30(オープンワークの作成)

   4位はソーシャルメディア・ソーシャルアプリに関する事業を行うガイアック(東京都千代田区)、5位はデジタルマーケティングを支援するITベンチャーのフィードフォース(東京文京区)。6位は情報サービスを展開するIT関連事業のキャンバス(東京中央区)【図表1】。

   7位は新卒採用支援のジェイック(東京千代田区)、8位はアマゾン・ウェブ・サービスの特化したシステム開発のサーバーワークス(東京新宿区)、9位は米国系コンサル会社のプロティビティ合同会社(東京千代田区)、10位は日本の経営支援の草分け、日本能率協会コンサルティング(東京港区)となった【図表1】。

   ランキング30社中6社がコンサルティング業界、4社がシステム開発の関連業界、そのほか飲食やアパレル、人材支援、インターネット関連、サービス系企業と、バリエーションに富んだ業種からランクインした。

「社員みんなで会社を作っていこう」「社長が全員の名前を知っている」

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社長が社員全員の名前を知っている(写真はイメージ)

   それにしても、会社を高く評価しているにもかかわらず、なぜ辞めるのだろうか。トップ30社を計8項目の評価スコア平均で、企業規模を問わない全体の評価スコア平均と比較分析すると、面白いことがわかった。

   まず、新卒入社者よりも中途入社者による投稿が比較的多いという特徴があること。さらに、中でも「社員の士気」「20代成長環境」「人材の長期育成」のスコアは1点以上の差をつけて高いこと。また、「風通しの良さ」も1点近くの差をつけて高評価となっていた【図表2】。

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(図表2)退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング」の評価比較(オープンワークの作成)

   そして、具体的に元社員のクチコミをみると、「会社の仕組みづくりに自分も関われる」「社員に一体感があり、フラットである」「自身の成長を実感できる」といった声が見られた。

   少数精鋭だからこそ経営層との距離が近く、会社が成長する過程や社員が一丸となってミッションに向かう様子を感じることができるようだ。こんな風に――。

スカイライト コンサルティング「社員みんなで会社を作っていこうという風土があり、コンサルタントという職種とも相まって、社員の自主的な会社の仕組み作り、制度作りが積極的に行われていました」(コンサルタント、男性)
アクシスコンサルティング「『全社利益』『顧客貢献』を重んじる文化が浸透している。社内の顔色をうかがうのではなく、常にマーケット・顧客視点を貫くことが経営だけではなく、現場まで浸透しているため、大企業出身の自身にとっては、よい意味でとてもギャップがあり、心地良い環境であった」(キャリアアドバイザー、男性)
フィードフォース「働いているうちに会社が大きくなり、社員が増えるのは見ていて楽しかった。これが働きがいだともいえる」(開発部、男性)
キャンバス「経営・マーケティング・エンジニアリングの距離がとても近い。手触り感をもってプロダクト成長させている実感がとてもある、学びもある」(事業開発、男性)
サーバーワークス「組織体制がフラットであり、誰しもが意見を言える環境が整っていて素晴らしいと思います。縦割りの組織ではなく、部門をまたがっての意見も活発であり、透明性が高い組織だと感じておりました」(エンジニア、男性)
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職場のチームワークがいい(写真はイメージ)
ハブ(飲食)「正直な経営を行っている。嘘をつかない。これに関しては非常に強く社員間で共有がなされており、特に社内の賞罰に関しては全社で即共有する動きがある」(店長、男性)
ウィンキューブホールディングス「裁量権が大きいので、早いうちからさまざまな業務を経験することができます。早いうちから経験を積んでビジネスパーソンとしてキャリアアップしたい、マーケティングスキルを身につけたい、という方にとっては、とても経験を積みやすい環境」(マーケティング事業部、女性)
三洋貿易「風通しがよく、社長は基本的に全員の名前を覚えている。部によるとは思うが、基本的にはしっかりとした根拠があれば、年次・年齢問わず意見を尊重されるため、個人の裁量はある程度与えられる」(営業、男性)
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NHK大河ドラマ「どうする家康」(NHK公式サイトより)

   NHK大河ドラマ「どうする家康」は、弱小国・三河の徳川軍団が強国の武田、今川、そして豊臣を倒して天下をとる物語だ。リーダー家康(社長)と家来たち(社員)の間では、自由に意見を言えるどころか、本多正信のように主君を裏切っても才能があれば重用される、超フラットの人間関係が描かれる。

   やる気と能力中心主義なのだ。卒業する人も気持ちよく会社を去り、それを承知で企業も温かく育てる。「小さくでも、いい会社」とは、人と会社が一緒に成長する経営をするものだろう。

   調査は、2020年以降に退職者からの投稿が5件以上ある、従業員数300人未満の8045社(6万7064件)のクチコミを対象データとした。(福田和郎)

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