マツタケのDNA、「全解読」で話題に! でも、大量生産は残念ながらまだ先...それよりも、もっと重要な目標があった!/かずさDNA研究所・研究員 白澤健太氏

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マツタケは絶滅危惧種に分類されている


DNA分析装置の中の様子。小分けにされた検体がおびただしい数の反応槽に入れられ、分析される

   実は、マツタケは2020年に各国政府や環境団体などで作る「国際自然保護連合」(IUCN)から「絶滅危惧種」に指定されている。つまり、いわゆる「レッドリスト」入りしてしまっている状態で、これは世界的に松林が減少していることが理由だとされている。白澤氏はこの状況を説明しつつ、マツタケのゲノム解読を行った意義を説明する。

白澤氏 マツタケのゲノムを解読した先には「マツタケの保全」という目標があります。マツタケは、キノコとして生えてくる前には松の根に菌糸の状態で存在します。ところが、マツタケがキノコの姿で生えていない状況で松の根を見ても、その松にマツタケが存在しているのか否かは分かりません。 そこで、サンプルを採取して、そのDNAを解析して初めて、マツタケの菌糸の有無が分かるのです。もっとも、それができるようになるには、まずはマツタケのDNAの全ての塩基の組み合わせを知る必要があります。

――なるほど。つまり、マツタケを守るには、まずはマツタケの菌糸がどこに存在しているかを確認する必要があると。

白澤氏 ええ。そこから、どのような状況になるとマツタケが消滅してしまうのかといった条件を研究し、そうならないようにするにはどうすればいいかを解明していくという算段です。つまりは、マツタケの生態を知りたいのです。

――マツタケの保全を目指すということは、やはり、生態系の維持にも資するのでしょうか。

白澤氏 そういうことになるかと思います。マツタケもまた、他の生物と一体となって生態系を構成していますから、絶滅を防ぐことは生態系の保全に資すると言えるでしょう。マツタケは松と共生していますからね。

――「共生」ですか? 「寄生」ではなく?

白澤氏 そう、共生です。お互いに必要な物質を与え合っているので、共生なのです。
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