政府が打ち出したリスキリング(学びなおし)の支援策として、転職を目的としたリスキリングに最大で56万円を補助する制度が始まった。経済産業省による「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」のことだ。
そうした動きがあるなかで、では学び直しに意欲のある人はどのくらいいるのだろうか?
キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」の調査機関「Job総研」を運営するライボ(東京都渋谷区)は2023年8月21年に「2023年 転職とリスキリングの意識調査」の調査結果を発表した。
調査によると、リスキリングによるキャリアアップ支援事業の認知度は、「名前と内容どちらも知っている」(35.4%)、「名前も内容もなんとなく知っている」(23.8%)で、あわせて59.2%が知っており、過半数を超えた。
転職に向けたリスキリングへの意欲は「とてもある」が30.9%、「ある」は29.1%、「どちらかといえばある」は29.3%となり、あわせて89.3%が転職に向けたリスキリングに関心が高い。また、習得したいスキルは英語が29.3%で最多になった。
転職を考えるきっかけ...「給与や待遇の不満」56.7%、「仕事にやりがい感じない」41.9%、「会社の将来性や経営の不安」29.2%
経済産業省主催で行うリスキリングから転職までを切れ目なく支援する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」。これは、転職を希望する人がキャリアコンサルタントに相談する費用や、新たな技能を学び直すための講座費用の一部を政府が負担するというものだ。
そんななか、Job総研では自身のキャリアに対する納得度や今後の転職意欲の有無、そのきっかけと求める条件、収入アップなどに加え、学び直しの意欲や身につけたいスキルとその理由について調査した。
はじめに、554人の対象者全員に自身のキャリアの納得度を聞いた。「納得している派」は「とても納得している」が「7.4%」、「納得している」が「16.6%」、「どちらかといえば納得している」が「39.0%」であわせて6割を超えた。
かたや、「納得していない派」は「全く納得していない」が「12.6%」、「納得していない」が「9.1%」、「どちらかといえば納得していない」が「15.3%」となり4割弱となった。
続いて、転職意欲の有無について質問した。現時点での転職意欲は「とてもある」が「15.9%」、「ある」が「11.9%」、「どちらかといえばある」は「26.1%」に達した。あわせると、「53.9%」となり、半数を超える人が転職に肯定的だった。
転職意欲がある298人に「転職を考えるきっかけ」を聞いた。上位を占めたのが「給与や待遇への不満」が「56.7%」、「仕事にやりがいを感じない」が「41.9%」、「会社の将来性や経営への不安」が「29.2%」となった。
さらに、転職先に求める条件を全体に聞くと、「給与や待遇」が「78.3%」で最多になった。次いで、「仕事のやりがい」が「52.5%」、「ワークライフバランス」が「49.8%」の順になった。
つぎに、回答者全体の554人に転職による給与や待遇を上げる自信について聞いた。「全く自信がない」は「17.0%」、「自信がない」は「13.0%」、「どちらかといえば自信がない」は「20.4%」となり、以上をあわせて50.4%が「自信なし派」と、過半数をこえた。
一方で、「とても自信がある」が「7.4%」、「自身がある」が「13.7%」、「どちらかといえば自信がある」は「28.5%」となり、あわせて「自信がある派」は「49.6%」。給与を上げる自信がある人と、そうでない人で拮抗している結果になっている。
また、転職後に活躍できる自信について聞くと、「とても自信がある」(7.2%)、「自信がある」(20.2%)、「どちらかといえば自信がある」(35.6%)をあわせた「63.0%」が新しい職場で活躍する自信があると回答した。