「大工が足りない」住宅業界の人手不足深刻 「建設業の2024年問題」も重なり...家を建てたくても、建てる人がいなくなる?

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   住宅建設業界の人手不足が深刻化している。若者のなり手希望者が減少し、技能者の高齢化が進んでいることが大きな要因だ。

   特に大工の不足状況は激しい。2024年度からは残業規制が強化されることもあり、このままでは家を建てたくても、建てる人がいないという厳しい状況に陥る可能性がある。

  • 住宅業界の人手不足が深刻(写真はイメージ)
    住宅業界の人手不足が深刻(写真はイメージ)
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大工の就業者...1985年は約81万人→2020年は約30万人 野村総研の予測値は、2040年は約13万人

   トラックなど物流業界の「2024年問題」が話題だが、住宅・リフォームを含む建設業界も同じ。働き方改革の関連法改正により時間外労働の上限が2024年4月から強化される。

   違反した場合は、6か月以下の懲役と30万円以下の罰金が科される。悪質な場合は企業名の公表もあり得るため、建設業でも「2024年問題」と呼ばれる。

   人口減少や少子高齢化に残業規制が加わり、多くの業界で働き手不足が問題化しているわけだが、住宅建設業界は一段と深刻だ。

   総務省が行っている国勢調査によれば、住宅建設の技能者は1985年には約167万人にのぼったが、2000年代以降は減少し、2010年には103万人、20年には約82万人と、その数は急速に減少している。

   特に減少が著しいのが大工だ。1985年には約81万人だったのが、2010年には40万人と半減し、20年には約30万人まで落ち込んでしまった。

   野村総合研究所は今後の予測値を出しているが、それによると、大工の数はこの先も減少を続け、30年には約20万人、40年には約13万人になる見込みだという。現在の大工の半数以下しかいないことになる。

2040年の新築住宅着工件数、2010年比で3割減の予測 だが、大工などは約5割減の見込み

   大工を中心とした住宅建設業界の働き手の減少は、労働時間が長く、重労働であるのに対し、賃金が見合わないことが大きいとされる。

   また、かつては「親方」と呼ばれる熟練の大工が若い弟子を多数抱えて技術を伝えてきたが、熟練の大工がどんどん減っていることや、経済的に苦しくてたくさんの弟子を持てないケースも多く、若い人材を育てる環境が悪化しているとされる。

   もちろん、人口減少などで日本の新築住宅の着工件数も減少傾向にあり、技能者が減っても影響はそれほど大きくないのではないか、という見方もある。

   しかし、野村総研の予測によれば2040年の新築住宅着工件数は、2010年の実績値に比べ3割強減少するのに対し、大工などの技能者は約5割も減ると見込まれ、「技能者は着工件数を上回るペースで減少する」と見ている。

住宅リフォームの技能者も減少か このままでは、住まい探しに困窮する「住宅難民」も

   今の若い世代は新築住宅を購入するより、中古住宅を割安な価格で購入し、リフォームをしてそれぞれのライフスタイルに合った住居を構えるケースも増えている。

   だが、業界では、リフォームを手掛けられる技術を持った人材自体も急速に減る可能性が高い、との見方もある。

   このままの状況が続けば、住まい探しに困窮する「住宅難民」も発生しかねないというのが現状だ。それぞれの現場での生産性向上に努めるのはもちろんだが、「賃金の引き上げなど魅力ある職場作りをしないといけない。

   「若い世代に関心を持ってもらう取り組みが早急に必要だ」(業界関係者)との声が高まっている。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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