<人生の3分の1を占める「睡眠」の質を高めるには...マットレス難民に届けたい「最適解」があった【前編】>では、「NELLマットレス」の特徴を聞いたが、このマットレスの中に配置するコイルを手掛ける企業との出会いが不可欠だったと、株式会社Morghtの執行役員・宮下大和(みやした・やまと)さんは語る。
D2Cを活用して、「自分の家で寝て試せる」ように
――【前編】では、「NELLマットレス」には寝返りを打ちやすくする細やかな工夫があるとおうかがいしました。「NELLマットレス」の開発で協力された会社さんとはどのように知り合われたのでしょうか。
宮下大和さん 「NELLマットレス」の特徴である小さい口径のポケットコイルをつくるのは、技術的に難しいのです。今回、ご一緒させていただいた福岡県の会社さんにはそのための確かな技術があることはもちろん、寝具の業界には全く知識がない私たちに対して、懇切丁寧に説明を行ってくださり、すばらしい出会いとなりました。そこに至るまでは「ウレタンでもいいのかな」という思いもあったのですが、現物のポケットコイルを見て、やはりこれを使ったマットレスをつくりたいなと。
――いい出会いですね。福岡県内の会社へは、東京から足を運ばれていたんですか。
宮下さん そうなんです。当時から弊社社長の土井が何度も通っていましたね。
――製品作りで一番苦労された、いわば、こだわった点は何でしょうか。
宮下さん そうですね......マットレスの固さをどの程度にするかという点でしょうか。固さと柔らかさのバランスはとにかく重視しました。そして、最終的には土井が自ら寝てみて、そして、ユーザーのみなさんにもテストしていただきました。
――今、商品として出ているものは、最高のバランスになっているということですね。
それでは次に、販売方法についてお聞きします。D2C(Direct to Consumer=ECサイトで顧客に直接自社製品を販売する方式)を取り入れた理由とは何でしょうか。
宮下さん やはり、「店舗で短時間触れただけで買わないといけない」という購入方法への疑問があったので、ネットで販売していこうと考えました。そこで私たちは、「店舗販売だと2、3分寝てみただけで買わないといけない」ということではなく、D2Cを活用して、「自分の家で寝て試せる」「フリートライアルの期間は120日間」というルールで、お客様自身が自らに合うマットレスに出会えるシステムをつくりました。
――すごいですね!
宮下さん それと、D2Cという販売方法のいいところは、購入の過程の全てを売る側がデザインできるという点だと思います。どういうことかというと、「商品が認知される」→「購入」→「使用中の感想」というそれぞれの過程を、私たちが完全に把握できるので、うまくいかない点を改善していくアプローチをしやすいのです。「お客様がどこで購入をためらったのか」といったことが可視化され、そのうえでお客様が気持ちよく購入できるようにするための改善策を打ちやすいのです。