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人生の3分の1を占める「睡眠」の質を高めるには...マットレス難民に届けたい「最適解」があった【前編】/株式会社Morght執行役員・宮下大和さん

   突然だが、あなたは日々の睡眠に満足しているだろうか。そして、自信を持って「満足している」と答えられる方は、それほど多くないのではないだろうか。

   ためしに、最新の厚生労働省の「健康実態調査結果の報告」をみると、「睡眠時間のとれている度合い」についての質問で、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と答えた人が48.3%に上ったという。そう、日本人の睡眠は、お世辞にも「最適化」されているとは言い難い状況なのである。

   あなたがこの調査に漏れず、睡眠に満足していないとしたら、その原因を考えたことはあるだろうか。寝る前のスマホといった悪癖など思い当たる要素は少なくないかもしれないが、仮に、その原因が「寝具」だったとしたら――。

  • 自社商品「NELLマットレス」を掲げる「株式会社Morght」執行役員の宮下大和さん
    自社商品「NELLマットレス」を掲げる「株式会社Morght」執行役員の宮下大和さん
  • 自社商品「NELLマットレス」を掲げる「株式会社Morght」執行役員の宮下大和さん

柔らかいマットレスは、睡眠の敵だった?!

   今回、J-CAST会社ウォッチ編集部が訪ねたのは、スタートアップ企業の株式会社Morght(モート)。2023年で創立から5年を迎えたという同社は、初期こそネット事業を展開するも、その後、マットレスのD2C(Direct to Consumer)販売に打って出たのだという。

   そのきっかけは、創立後になかなか売り上げが伸びない中、同社が心から大切にしたい真の思いに立ち返ったことだった――。

   同社が扱うのが、マットレスのブランド「NELLマットレス」である。企画・販売事業を手掛ける、同社執行役員の宮下大和(みやした・やまと)さんに話を聞いた。

――自社サイトを通じて、顧客に直接自社製品を販売している「NELLマットレス」は、口コミで人気ですね。ところが御社は、寝具の事業に参入する前は、違う分野の事業をなさっていたそうですね。

宮下大和さん ありがとうございます。株式会社Morghtは2018年5月に代表の土井皓貴が設立しました。当初はYouTuberのコミュニティーサービスや、新卒紹介のアプリなどを運営していました。2年ほど運営しましたが、なかなか軌道に乗らず、撤退。そして、2020年1月ごろから、次の事業を何にするかを考え始めました。
その時、会社名の「Morght」に立ち返りました。というのは、社名の由来として「朝(Morning)起きてから(to)、夜(Night)寝るまで」、つまり、人々の暮らしを朝から夜まで豊かにする事業をしたいという思いを込めていたからです。この思いをあらためて大切にして、新規事業の方向性を探りました。

――そういうことだったんですね。

宮下さん そうした貢献ができる事業とは何かと考えた時、そうですね、20、30とアイデアを出した結果、「睡眠」で人々の生活を豊かにしていこう、という結論にたどり着きました。
そのうえ、人々が抱えている睡眠における課題を調べていくうちに、「満足できる寝具にたどり着いていないのではないか」という点に着目しました。さらに調べていくと、なかでもマットレスについての不満が多いことに気づきました。寝具の購入レビューなどにも多かったですね。

――重要な気づきですね。思えば、睡眠は人生の3分の1を占める、とも言えますよね。

宮下さん マットレスは睡眠の際に体を預けるという、睡眠において最も重要な要素といえるでしょう。しかし、そのマットレスに対する不満がどうにも多い。その理由を突き詰めて考えていくと、店舗での購入の際に「ついつい柔らかい製品を選んでしまう」というのが原因ではないかと。ふかふかしたマットレスは、あたかも寝やすいように感じられるからです。

質の高い睡眠をもたらすマットレスとはどんなものかについて語る宮下さん

――柔らかいマットレス......いかにも寝やすそうですが、違うんでしょうか。

宮下さん 実は、柔らかいマットレスは寝返りが打ちづらく、その結果として睡眠の質が下がってしまうということが後を絶ちません。

――なるほど! いや、そこは盲点でした。

宮下さん そこで弊社は、良質な睡眠が得られるマットレスを、ネットで販売していくことにしました。
おそらくみなさんも、店舗で2、3分寝転がってみて、「気持ちいい」と感じて買ってしまうのではないでしょうか。しかし、睡眠は1日のうち7、8時間をかけて行うものですから、短時間の使用感では「最適解」にはたどり着けません。
しかも、購入後に初めて自宅で長時間使ってみてしっくりこなくても、それなりの金額で購入していることを思うと、なかなか返品しにくい。だから、我慢して使い続けるか、はたまた「前のものはあわなかったから」と別の商品を買うといった悪循環にも陥りがちです。ただ、後でも述べますが、弊社は無料で試せる「フリートライアル」の制度が充実しておりますので、そのあたりはご安心いただけるかと思います。

――まさに、悪循環を断ち切れるわけですね! ちなみに、ブランド名の「NELL」の由来についてお聞きしたいと思います。ストレートなネーミングだと思うのですが......。

宮下さん 「WELL+NERU」で、「NELL」というブランド名を発案し、2020年10月に始めました。読んで字のごとく、「よく寝られる」という意味です。

――なるほど!

一晩に20~30回の「寝返り」を打ちやすくする細やかな工夫


「NELLマットレス」の構造の説明は熱を帯びたものになった

――では、「NELLマットレス」の特徴とはなんでしょうか?

宮下さん 「NELLマットレス」の特徴は、寝返りに特化した構造になっていることです。マットレスの断面が「センターハード構造」という、腰が乗る部分だけがやや固い構造になっています。寝返りは腰から打つので、そこを固くすることで、寝返りが打ちやすくなるのです。その一方で、頭や足が乗る部分は軟らかめになっており、寝心地の良さを追求しています。

――腰の周りだけ、あえて固くするんですね。

宮下さん そういうことです。マットレスの中に配置しているコイルにもこだわっています。D2Cで販売されているマットレスの弾力剤としてはウレタンが主流なのですが、NELLマットレスはコイルを使用しています。
これだけでも寝心地は向上するのですが、弊社ではさらに、各コイルが連結している「ボンネルコイル」ではなく、それぞれが独立している「ポケットコイル」を使用しています。1本のコイルの傾きが他のコイルに波及しないため、さらなる寝心地の良さを実現しています。

――コイルの種類の名前、初めて聞きました。

宮下さん ウレタンを使わないということは、通気性の面でも優れています。ウレタンは凝縮された綿なので、夏には熱がこもってしまい、暑くて寝られないということが多々ありますが、コイルであれば通気性があるため、そのようなことにはならずに済むのはもちろん、中でカビが発生するなどということも防げます。

――いいですね!


日本の睡眠を変えていきたいと語った宮下さん
宮下さん ちなみに、「NELLマットレス」に使われているポケットコイルを作っている協力会社さんは、コイルの口径が小さいものを作れまして。一般的なマットレスで使われているポケットコイルの半分の口径のポケットコイルを、たくさん敷き詰める方法でマットレスの上面を支えています。その本数は、ダブルベッドで1734本。たくさんの本数で細かくマットレスの上面を支えることで、「バネが体の下にある」という不快感が発生しづらくなっています。

――そこまでこだわっているのですね!

宮下さん しかも、この構造はコイル1本当たりの体圧を分散させることができるので、その結果としてコイルの面からも寝返りを打ちやすくなっています。実は、一晩の寝返りの回数は20~30回ほど。この寝返りが打ちづらいと、その際に目が覚めてしまい、睡眠の質が下がってしまいます。

――寝心地って、そんなに重要なんですね。

宮下さん 深い眠りに入らないまま朝を迎えてしまうと、すっきりと目覚められないといった弊害が出てしまうので、それを避けるのは重要です。

   <人生の3分の1を占める「睡眠」の質を高めるには...マットレス難民に届けたい「最適解」があった【後編】/株式会社Morght執行役員・宮下大和さん>に続きます。

(構成/J-CAST会社ウォッチ編集部 坂下朋永)