男性の育休取得率、従業員数「1000人超」の企業で高く
2023年4月から、従業員1000人を超える企業を対象に男性の育児休業の取得率の公表が義務化された。
また、この6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、それまで掲げていた男性の育休取得率の目標である「2025年までに30%」が「25年に50%、2030年に85%」に引き上げられるなど、政府は男性の育児参加を促す取り組みを強化している。
これらを受けて、帝国データバンクが「自社の男性の育休取得率」を聞いたところ、平均で11.4%だった。
企業の規模別でみると、「大企業」が14.1%。「中小企業」が10.6%、うち「小規模企業」が8.6%となり、企業規模が大きいほど取得率が高い傾向にあることがわかった。
男性の育休取得率を従業員数別でみると、現在取得率の公表が義務づけられている「1000人超」の企業が20.8%で最も高く、全体(11.4%)を9.4ポイント上回った。【図3参照】
帝国データバンクでは、
「企業からは、経営者の意識のほか、女性従業員自身の意識が女性登用の足かせとなっているといったコメントが多数あがっていた。家事や子育て関連が仕事に支障をきたすことへの懸念や、女性管理職の前例がないこと、管理職の登用に向けた教育が行われてきていないことなどがその背景にあげられる。また、育児休業などで生産能力が低下することや、職場で男性が育児休業を取得する雰囲気ではないなどといった問題点も聞かれた」
と指摘。
企業には性差に関する固定観念の打破や、長時間労働の人ほど昇進しやすいなどの、旧態依然とした社内風土の改革に加え、男女とも仕事と家庭を両立できるための働きやすい環境づくりや業務の効率化に向けた取り組みが求められるとしている。【下の表参照】
また、従業員へのキャリア開発・育成の強化や、それぞれの見本となるキャリアに関するロールモデルの提示など多方面からアプローチしていくことも重要で、
「その取り組みを支えるために、働きやすい環境整備への奨励金や、育児休業の助成金制度・税制優遇制度、人材開発に関する助成金など多岐にわたる効果的な公的支援策の拡充・強化も肝要といえる」
とコメントしている。
なお、調査は全国の2万7768社を対象に、2023年7月18日~31日にTDB景気動向調査(2023年7月調査)とともに実施した。有効回答企業数は1万1265社(回答率40.6%)。女性登用に関する調査は、2013年以降、毎年7月に実施。今回で11回目となる。