ビッグモーター、金融機関にも見捨てられ「四面楚歌」に...いつまで営業を続けられるか?

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   銀行からも完全に見捨てられたかっこうだ。

   中古車販売大手のビッグモーターは2023年8月が期限だった借入金90億円の借り換えをメガバンクや地方銀行など計4行に要請した。しかし、すべて断られた。ビッグモーター側は借り換えを断念し、90億円を返済した模様だ。

  • ビッグモーターの今後は?(写真はイメージ)
    ビッグモーターの今後は?(写真はイメージ)
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借入金90億円の借り換え拒否、新規融資も難しい状況か 国交省、金融庁が調査...厳しい処分は必至

「前例のない不祥事が横行していたビッグモーターと取引を継続するのは難しい。借入金の回収を優先して臨むしかない」

   取引金融機関からはこんな声があがる。今後も借入金の借り換えや新規融資は難しいとみられ、経営の継続に黄信号が灯ったかたちだ。

   自業自得とはいえ、ビッグモーターはいま、四面楚歌の状況にある。

   一連の不祥事で中古車の買い取りや販売は半減し、複数の大手中古車検索サイトからも締め出された。

   取引企業も離れている。信販会社も取引解消に動き、ビッグモーターで車を買ってもローンを組むのが難しい状況になりかねない。

   今後は国の厳しい処分も予想される。不祥事の発端となった自動車整備部門では、道路運送車両法に違反した疑いがあるとして国土交通省が調査を進めている。法令違反が認められれば、民間車検場の認証は取り消されることになる。 ビッグモーターは国内でも有数の保険代理店として、保険契約をえさに、損保大手と持ちつ持たれつの関係を築いてきた。しかし、金融庁は保険代理店登録の取り消しを視野に実態を調べており、こちらも厳しい処分は避けられそうにない状況だ。

経営の立て直しへ、デロイトトーマツグループから専門家 だが、「惨状を救う一手は見当たらず」

   ビッグモーターにとって痛いのは、窮状に手を差し伸べてくれる支援者が見当たらないことだ。

   背景には、同社に対する世論の厳しい視線がある。いくつもの不祥事の中で、国民感情を悪化させるうえで影響が大きいとみられるが、店舗周囲の街路樹をわざと枯らしたとされる「除草剤疑惑」だ。

   すでに複数の店舗付近の植栽から除草剤の成分が検出されており、現場からも「本社の指示だった」と認める声も相次いでいる。

   自治体側は警察に被害届けを出すなど態度を硬化させており、産業界からは「こん状況でビッグモーターの支援に動けば、こちらが炎上しかねない」と本音が漏れる。

   今後の焦点は、ビッグモーターが単独でどこまで営業を続けられるかに移っている。

   関係者によると、ビッグモーターは300億円超える現預金を保有し、中古車や土地など市場で売却して、おカネに変えることが可能な資産も多い。

   このため、取引金融機関の間では「すぐに潰れることはないだろう」との見方が大勢だ。

   しかし、四面楚歌の状況が長期化すれば、話は別だ。

   ビッグモーターはデロイトトーマツグループから専門家を招いて、経営の立て直しを図っている。

   だが、同社に近い関係者は「惨状を救う一手は見当たらないようだ」と証言する。

   ビッグモーターの全株式は兼重宏行前社長、長男の宏一前副社長ら創業家の資産管理会社が握っている。

   社内外から「創業家が保有資産を提供しない限り、取引企業も国民も到底、納得できないだろう」との声が出るのも当然だ。

   創業家が沈黙を続ける中、ビッグモーターの危機は深まっていく。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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