裏ワザを網羅?!...ダイヤモンド「手取りを増やす」、東洋経済「インバウンド」、エコノミスト「空き家問題」を特集

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

手取りを増やすには...「控除」をフル活用、支払う税金・社会保険料自体を減らす

   2023年8月21日発売の「週刊ダイヤモンド」(2023年8月26日号)の特集は、「手取りが増える大全」。給料や退職金、年金、パートなどの額面と、「手取り」がどのような仕組みで増減するのかを解説。手取りを増やせる裏ワザを網羅している。

   ファイナンシャルプランナーの深田晶恵氏が試算した、額面年収700万円の人における手取り収入の推移を示したグラフが衝撃的だ。

   額面年収は同じ700万円なのに、手取りは2002年に587万円あったものが、23年には536万円に、21年間で51万円も減っているのだ。

   この間、ボーナスから引かれる社会保険料のアップ、配偶者特別控除の一部廃止、定率減税の縮小・廃止などがあり、税金と社会保険料がアップしたので、手取りが減った、と説明している。

   手取りを増やすには「控除」のフル活用と、支払う税金・社会保険料自体を減らすワザがあるという。

   一般の人に最も関係がありそうなのが、NISA(少額投資非課税制度)の利用だ。通常、投資で得た利益に対しては20%余りの税金がかかるが、NISAを利用して購入した株式や投資信託には、配当にも値上がり益にも税金はかからない。

   2024年からは制度がシンプルになり、かつ利用できる金額が大きく拡大するので利用を勧めている。現行NISAでは、つみたてNISAの非課税保有期間は20年で、非課税保有限度額は800万円だったが、新NISAでは無期限化され、非課税保有限度額も1800万円になる。

   運用途中で値上がりしたものを売却すれば、その分の非課税枠が翌年復活するので、再び年間の上限額の360万円まで投資できる。つまり、非課税保有限度額は決まっているものの、成果の出た部分から安全資産に移していけば、どこまでもNISAを使って購入することは可能だという。

◆「年収の壁」106万円と130万円の壁、攻略法は?

   配偶者のパート収入が、思わぬ「手取り収入ダウン」を招くことがある。扶養から外れたり社会保険料の負担が発生したりする「年収の壁」のわなだ。前述の深田氏によると、攻略すべきは、106万円と130万円の壁だという。

   パート収入が106万円を超えると、パート先の社会保険に加入するため、約15万円も手取り年収が減る。さらに、130万円を超えると、妻は夫の社会保険の扶養(第3号)から外れる。

   深田氏は「年収の壁」を越えて働くべきか、越えないほうがいいか、悩ましい問題だが、働く時間を確保するなら「壁越え」を勧めている。

   そのメリットの1つは、厚生年金に加入して自分で保険料を払うと、将来の年金額がわずかだが増えること。もう1つは、夫の扶養範囲では受けられなかった健康保険の給付を受けられることだ。

   また、厚生年金の適用拡大は続いていくため、「106万円の壁」は「82万円の壁」になるかもしれないという。政府が社会保険への加入を勧める中、今のうちに壁を超える準備を始めた方がいいとアドバイスしている。

   このほか、金利が高い時代に契約した個人年金は、今では考えられない予定利率が約束されているので、保険料を増額したり、受給開始時期を繰り下げしたりすることで年金額を倍増させる裏ワザを紹介している。

沸騰するインバウンド キーワードは、3つの「R」

   「週刊東洋経済」(2023年8月26日号)の特集は、「沸騰するインバウンド 復活するナイトタイム」。コロナ禍が沈静化し、中国からの団体旅行が8月10日に解禁された。インバウンド再爆発が間違いないという各地をレポートしている。

   最初に登場するのは、インバウンド&ナイトタイムの新たな聖地という「東急歌舞伎町タワー」。東急とグループ会社の東急レクリエーションが、映画館の新宿ミラノ座などの跡地に、地上48階の同タワーを建設、4月にオープンした。

   上層階にはホテル、下層階には、映画館、劇場、ライブホール、レストランなどエンタメ施設が入る。オフィスも物販もなく、外国人が好むような施設が目白押しだ。開場からわずか1カ月で入館者が100万人を超えるなど、滑り出しは順調だという。

   ホテルのインバウンド比率が80%を超え、訪日観光客の支持を集めている。タワー内の施設は、深夜まで営業しているので、「東京の夜は短くて楽しめない」という彼らの不満解消に貢献しているようだ。

   訪日観光客は「買い物」から体験へと目的が変わってきたという。

   キーワードは3つの「R」で表すことができるそうだ。1つ目のRは「Rich」。コロナ禍前の主役だった中国はトップ10圏外に落ち、23年は韓国が最多で台湾や香港のほか、米国やオーストラリアからの観光客の比率が高まっている。世帯年収は、約半数が10万ドル(約1400万円)以上のRichな層だ。

   2つ目のRは「Repeat」。訪日客の3分の2がリピーターで、地方にも足を運び、滞在日数も長期化している。3つ目のRは「Revenge」。リベンジ消費と円安で旅行単価は爆上がりしているという。

   パレスホテル東京は、量より質を追う姿勢を鮮明にし、バトラー(執事)サービスの提供、海外営業専門部署の立ち上げという戦略が成功し、客室単価が10万円を超えたという。

   地方ホテルの挑戦も紹介している。

   「雪国文化」の物語で地域をブランディングした、新潟県南魚沼市の古民家ホテル「ryugon(りゅうごん)」、京都の町家を再現した旅館「京町家 楽遊 堀川五条」、和歌山県の高野山の高級宿坊、恵光山。それぞれリピーターに対応したサービスを提供しているのが特徴だ。

◆外国人の訪日本格化で上がる株は?

   外国人の訪日本格化で上がる株はどれだろう?

   「インバウンド株会社四季報」という企画も、おもしろい。恩恵を受けそうな24銘柄を取り上げている。テーマ「旅」では、ANAホールディングス、東海旅客鉄道(JR東海)など。テーマ「宿」では、星野リゾート・リート投資法人、ビジネスホテル「ドーミーイン」を展開する共立メンテナンスなど。

   それから、テーマ「買い物」では、コメ兵ホールディングス、まんだらけ、ロート製薬など。テーマ「遊び」では、藤田観光、オリエンタルランド、サンリオなどに注目している。

「管理不全」空き家は固定資産税が最大6倍に

   「週刊エコノミスト」(2023年8月29日号)の特集は、「どうする? 空き家&老朽マンション」。

   空き家の処分・活用必勝法について、同誌に寄せている、井上幸一・全国空き家アドバイザー協議会専務理事のアドバイスが参考になる。

   それによると、「持ち続ける」か「手放す」かの2つの選択肢がある。判断基準になるのは、「将来使う予定があるかどうか」になる。使う予定がなければ、たとえ安くしか売れなかったとしても、空き家所有に伴うコストを考えれば手放したほうがいいという。

   持ち続けることにした場合、住む、管理する、貸す、活用する――この4つの方法がある。当初10年間は賃貸住宅として借り主に住んでもらい、10年後に借り主がそのまま賃貸として住み続けるか、土地・建物を無償で譲り受けるかを選択してもらう「贈与型賃貸借」という制度もあるそうだ。

   また、今年4月から「相続土地国庫帰属制度」が創設され、行き場がなくなった土地を国に引き取ってもらえる道が開けた。さまざまな条件があるが、負の遺産を次の世代に引き継がないよう、活用を勧めている。

   今年6月に成立した「改正空き家対策特別措置法」により、管理状態の悪い空き家に課すペナルティーの対象が広がった。

   現行法では、倒壊の恐れが高いなど周囲に著しい悪影響を与える空き家を「特定空き家」と位置づけ、市区町村から勧告を受ければ固定資産税額は最大6倍となるペナルティーを科してきた。

   改正法では、放置すれば特定空き家となりうる空き家を「管理不全空き家」とし、同じく勧告を受ければ、固定資産税額は最大6倍となるようにした。

   空き家対策に積極的に取り組む千葉県香取市やワンストップで空き家対策に対応する「岡山住まいと暮らしの相続センター」を紹介している。

   評者の周辺でも、地方に残した空き家を処分する友人が増えている。親族とのトラブルで中断した例がある一方、土地の半分を売却、半分をユニークな施設として活用する例も。空き家問題が自分の課題となってきたことを痛切に感じる。(渡辺淳悦)

姉妹サイト