「管理不全」空き家は固定資産税が最大6倍に
「週刊エコノミスト」(2023年8月29日号)の特集は、「どうする? 空き家&老朽マンション」。
空き家の処分・活用必勝法について、同誌に寄せている、井上幸一・全国空き家アドバイザー協議会専務理事のアドバイスが参考になる。
それによると、「持ち続ける」か「手放す」かの2つの選択肢がある。判断基準になるのは、「将来使う予定があるかどうか」になる。使う予定がなければ、たとえ安くしか売れなかったとしても、空き家所有に伴うコストを考えれば手放したほうがいいという。
持ち続けることにした場合、住む、管理する、貸す、活用する――この4つの方法がある。当初10年間は賃貸住宅として借り主に住んでもらい、10年後に借り主がそのまま賃貸として住み続けるか、土地・建物を無償で譲り受けるかを選択してもらう「贈与型賃貸借」という制度もあるそうだ。
また、今年4月から「相続土地国庫帰属制度」が創設され、行き場がなくなった土地を国に引き取ってもらえる道が開けた。さまざまな条件があるが、負の遺産を次の世代に引き継がないよう、活用を勧めている。
今年6月に成立した「改正空き家対策特別措置法」により、管理状態の悪い空き家に課すペナルティーの対象が広がった。
現行法では、倒壊の恐れが高いなど周囲に著しい悪影響を与える空き家を「特定空き家」と位置づけ、市区町村から勧告を受ければ固定資産税額は最大6倍となるペナルティーを科してきた。
改正法では、放置すれば特定空き家となりうる空き家を「管理不全空き家」とし、同じく勧告を受ければ、固定資産税額は最大6倍となるようにした。
空き家対策に積極的に取り組む千葉県香取市やワンストップで空き家対策に対応する「岡山住まいと暮らしの相続センター」を紹介している。
評者の周辺でも、地方に残した空き家を処分する友人が増えている。親族とのトラブルで中断した例がある一方、土地の半分を売却、半分をユニークな施設として活用する例も。空き家問題が自分の課題となってきたことを痛切に感じる。(渡辺淳悦)