日産「スカイラインGT」誕生60年...「赤白」エンブレムも復活、特別仕様車発売へ だが、往年の名車もいまや人気に陰り?...輝きを取り戻せるか?

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   日産自動車が初代「スカイライン2000GT」の誕生60周年を記念した特別仕様のスポーツモデルを限定発売する。かつてスカイラインの象徴だった「赤白」の「GT」エンブレムも復活する。

   スカイラインは日産を代表する人気モデルだったが、今回の限定車はファンの心をつかむだろうか。

  • 「スカイラインNISMO」(日産自動車のプレスリリースより)
    「スカイラインNISMO」(日産自動車のプレスリリースより)
  • 「スカイラインNISMO」(日産自動車のプレスリリースより)

スカイラインNISMO...1000台限定、23年9月上旬 スカイラインNISMO Limited...100台限定、24年夏発売へ

   今回、日産が限定発売するのは「スカイラインNISMO」と「スカイラインNISMO Limited」の2つのNISMO(ニスモ)バージョンだ。

   ニスモとは、日産の子会社「日産モータースポーツ & カスタマイズ」を代表するブランドで、モータースポーツで培った日産の高性能モデルの象徴だ。

   現行のスカイラインの高性能モデル「400R」(3リッターのV型6気筒ツインターボエンジン)をベースに「最高出力を298kW(405ps)から309kW(420ps)に、最大トルクも475N・m(48.4kgf・m)から550N・m(56.1kgf・m)へ大幅に向上させた」という。

   日産は「高いトルクをしっかりと後輪で路面に伝えるため、リアタイヤの幅を20ミリ拡大し、専用開発の高性能タイヤを採用した。リム幅を拡大しながらも高い剛性と軽量化を両立したニスモ専用のエンケイ製19インチアルミホイールを採用し、操舵初期のレスポンスとコーナリング性能を高めた」と説明する。

   往年のファンにとってうれしいのは、懐かしい赤と白の「GT」エンブレムの復活だろう。左右のフロントフェンダーに誇らしく輝くエンブレムは、かつての「スカG」を連想させる。

   スカイラインNISMOは1000台限定で2023年9月上旬、スカイラインNISMO Limitedは100台限定で2024年夏に発売するという。

   前者は最廉価で788万円台、後者は947万円台と高価だが、GT-Rのイヤーモデルと同様、根強いファンに買い求められるのだろう。

2007年発売の現行「日産GT-R」からスカイラインの派生モデルでなくなり、「GT-R」として独立したが...

   今回のスカイランNISMOは、1964年にプリンス・スカイライン2000GT(S54A-1型)がデビューし、2024年で60年となるのを記念して発売するのだという。

   思えば当時のスカイランは、日産と合併する前のプリンス自動車工業が開発・生産する高性能セダンだった。

   プリンスはSUBARU(スバル)と同じく、戦前の名門戦闘機メーカー「中島飛行機」を前身に持つ技術屋集団だった。戦後は自動車メーカーとしてスカイライン、グロリアなどの高性能車を発売したが、経営は思わしくなく、1966年に日産と合併した。

   その後、スカイラインは「日産スカイライン」として、プリンス時代からの先進技術を引き継ぎ、日産を代表する高性能スポーツセダンとして人気を呼んだ。

   とりわけ歴代の「2000GT」と、そのレーシング仕様の「2000GT-R」は自動車雑誌の人気投票で1970年代から80年代にかけては首位もしくは上位を独占し、トヨタやホンダを圧倒した。

   しかし、筆者に言わせれば、そのピークは1989年発売の8代目(R32型)までだ。

   9代目(R33型)以降はボディーが大きくなりすぎてスポーツセダンの資質を損ね、スカイラインらしさを失っていった。

   かつて歴代のスカイラインは「愛のスカイライン」(3代目、C10型)、「ケンとメリーのスカイライン」(4代目、C110型)、「スカイライン・ジャパン」(5代目、C210型)、「ニューマン・スカイライン」(6代目、R30型)などと愛称で呼ばれたが、90年代以降はそんな愛称もなくなった。

   2007年発売の現行「日産GT-R」がスカイラインの派生モデルでなくなり、GT-Rとして独立したのは、そんなスカイラインの変質を象徴していた。

   現行の13代目スカイラン(V37型)は、2014年のデビューで異例の長寿モデルとなっている。2019年には「スカイライン史上最高の400馬力超え」となる「400R」という高性能モデルを追加したが、人気はいまひとつで、かつてのスカイラインの面影はない。

   モデルチェンジはいつなのか、そもそも次期スカイラインは存続するのか、ファンならずとも気になるところだ。(ジャーナリスト 岩城諒)

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