2007年発売の現行「日産GT-R」からスカイラインの派生モデルでなくなり、「GT-R」として独立したが...
今回のスカイランNISMOは、1964年にプリンス・スカイライン2000GT(S54A-1型)がデビューし、2024年で60年となるのを記念して発売するのだという。
思えば当時のスカイランは、日産と合併する前のプリンス自動車工業が開発・生産する高性能セダンだった。
プリンスはSUBARU(スバル)と同じく、戦前の名門戦闘機メーカー「中島飛行機」を前身に持つ技術屋集団だった。戦後は自動車メーカーとしてスカイライン、グロリアなどの高性能車を発売したが、経営は思わしくなく、1966年に日産と合併した。
その後、スカイラインは「日産スカイライン」として、プリンス時代からの先進技術を引き継ぎ、日産を代表する高性能スポーツセダンとして人気を呼んだ。
とりわけ歴代の「2000GT」と、そのレーシング仕様の「2000GT-R」は自動車雑誌の人気投票で1970年代から80年代にかけては首位もしくは上位を独占し、トヨタやホンダを圧倒した。
しかし、筆者に言わせれば、そのピークは1989年発売の8代目(R32型)までだ。
9代目(R33型)以降はボディーが大きくなりすぎてスポーツセダンの資質を損ね、スカイラインらしさを失っていった。
かつて歴代のスカイラインは「愛のスカイライン」(3代目、C10型)、「ケンとメリーのスカイライン」(4代目、C110型)、「スカイライン・ジャパン」(5代目、C210型)、「ニューマン・スカイライン」(6代目、R30型)などと愛称で呼ばれたが、90年代以降はそんな愛称もなくなった。
2007年発売の現行「日産GT-R」がスカイラインの派生モデルでなくなり、GT-Rとして独立したのは、そんなスカイラインの変質を象徴していた。
現行の13代目スカイラン(V37型)は、2014年のデビューで異例の長寿モデルとなっている。2019年には「スカイライン史上最高の400馬力超え」となる「400R」という高性能モデルを追加したが、人気はいまひとつで、かつてのスカイラインの面影はない。
モデルチェンジはいつなのか、そもそも次期スカイラインは存続するのか、ファンならずとも気になるところだ。(ジャーナリスト 岩城諒)