「他人がいくら稼いでいるのか」は気になるものだが、なんと平均年収が3000万円を超える会社があるという。
東京商工リサーチが2023年8月16日、「2022年度『上場企業平均年間給与』調査」を発表したが、それによると、上場企業の平均年収が620万4000円に達し、この13年間で最高額であることがわかった。
トップ10社は平均年収が約1600万円を超えるが、いったいどんな企業がそれほどの業績をあげているのか。
上場企業の平均年収、民間全体平均508万円より112万円多い
東京商工リサーチによると、2022年度の上場企業3235社の平均年間給与は、620万4000円(前年度比2.4%増)で、2021年度(605万4000円)から15万円増加した。2年連続で前年度を上回り、コロナ禍からの回復を示したかたちだ【図表1】。
前年度と比較可能な3124社では、約7割の2212社が前年度を上回った。上場企業の平均給与は2012年度から10年間で44万5000円増加している。また、平均給与の中央値は599万5000円(前年度587万8000円)で、単年度の増加額としては2021年度の10万円を超え、最大となった。
円安などで業績が好調だったほか、賃上げ機運も年間給与を押し上げたようだ【再び、図表1】。
「民間給与実態統計調査」(2021年度分、国税庁)によると、民間企業全体の平均給与は508万4000円(正規雇用)だから、上場企業の平均給与はその1.2倍で、112万円多いことになる【再び、図表1】。
産業別では、最高は電気・ガス業の731万7000円。以下、建設業713万5000円、不動産業674万6000円、金融・保険業649万6000円と続く。最低は小売業の472万1000円。トップの電気・ガス業と最低の小売業の差は259万6000円で、1.5倍に開いている【図表2】。
トップ10社、総合商社以外は超個性的で若々しい企業ずらり
平均給与のトップ10社を見ると、3位三菱商事(1939万3000円)、5位三井物産(1783万6000円)、7位伊藤忠商事(1730万円)、9位住友商事(1605万7000円)、10位丸紅(1593万9000円)と、総合商社が5社ランクインしている【図表3】。
しかし、総合商社を除く5社は、いずれも超個性的な企業ばかりだ。しかも、社員の平均年齢が30歳代と若々しいのが特徴。ちなみに、総合商社はすべて40歳代だ。
1位になったのは中堅・中小企業を対象にM&A仲介事業を行うM&Aキャピタルパートナーズ(東京都千代田区)で3161万3000円。後継者難に悩む中小企業を専門として急成長を続け、前年度(2688万4000円)から17.6%も増え、2014年度から9年連続でトップを維持した。平均年齢が32歳だ【再び、図表3】。
2位の精密機器メーカーのキーエンス(大阪市東淀川区、2279万3000円)は、企業向けの機器開発・販売を専門にしており、さまざまな年収調査ではトップクラスの常連。ここも平均年齢が35.8歳と若い。
4位の大手不動産ヒューリック(東京都中央区、1904万2000円)は、東京銀座など好立地の老朽化した自社物件を建て替えて、付加価値を付けて賃料を増やしていく戦略で業績を伸ばしている。平均年齢は39.6歳。
6位の戦略コンサルティングのドリームインキュベータ(東京都千代田区、1776万円)は「社会を変える、事業を創る」をモットーに、国内外のベンチャー企業の支援を中心に事業を展開中だ。平均年齢は37.1歳。
8位の不動産金融商品開発の地主(大阪市中央区、1697万円)は、昨年1月に旧・日本商業開発から社名変更をした。「建物を持たずに土地のみに投資して、地主に徹する」という独自のビジネスモデルを築いている。ここも平均年齢は38.9歳だ【再び、図表3】。
調査は、2022年度決算(2022年4月期~2023年3月期)の全証券取引所の上場企業を対象に、有価証券報告書の平均年間給与を抽出、分析した。変則決算企業と持株会社は除いた。(福田和郎)