中国は、新型コロナウイルス感染症の流行を機に停止していた日本への団体旅行を2023年8月に解禁した。百貨店関係者らは「これでインバウンド消費が本格回復するだろう」と歓迎するが、各地の観光地では複雑な表情も見え隠れしている。
「この日が来るのを待っていた」 コロナ前の2019年のインバウンド消費額4兆8000億円...このレベルに回復できるか?
中国から日本への団体旅行は2020年1月以来、約3年半ぶりとなる。
これまでも個人旅行は認められていたが、「航空券の手配を含め、簡単に旅行ができる団体旅行が認められない限り、中国人観光客は元に戻らないだろう」(観光業界関係者)とされていた。
実際、観光庁によれば、23年6月の中国人観光客は約20万8500人で、コロナ禍前の約4分の1に過ぎない状況だった。
コロナ禍前の19年の訪日観光客数は3188万人に上り、その約3割を中国人観光客が占めていた。彼らが戻ってくれば「インバウンド消費全体が戻るのは確実。コロナ禍前より消費は増えるかもしれない」(経済関係者)との見方も出ている。
19年のインバウンド消費額は4兆8000億円に上ったが、23年中に同レベルに匹敵するまでの回復が見込めるとの声もある。このため、東京都心の百貨店関係者は「この日が来るのを待っていた」と歓声を上げる。