価格戦略で活用される「端数価格」と「威光価格」
行動経済学をマーケティングに活用した事例を紹介している。
その代表例が「1980(イチキュッパ)」だ。本当は2000円に近いのに、1000円台という印象が強くインプットされる。安いと感じさせるキリの悪い価格は、「端数価格」と呼ばれる。
一方、キリのいい数字は「高い」という印象を与える。1600万円の高級車など、購入客の優越感や自己顕示欲をくすぐる「威光価格」という。
このほかの成功例として、セブンイレブンの「おにぎり100円セール」を挙げている。安価なものは割引率よりも価格のほうが安く感じる効果があるのだ。
最後に、行動経済学で近年注目されている「ナッジ理論」を説明している。
ナッジとは、ヒジで軽く小突くように、自発的に望ましい行動を選択するよう促すことだ。あらかじめ選ばせたい選択肢を初期設定することをデフォルトと呼ぶ。たとえば、WEBサイトなどの会員登録をする画面で、「メルマガを受信する」にチェックが入っているのもこのためだ。
人間は、情報が多いと考えるのをやめ、ヒューリスティックを使う傾向がある。さまざまな場面で、行動経済学を利用したマーケティングが行われていることを痛感した。(渡辺淳悦)
「行動経済学」
阿部誠監修
新星出版社
1320円(税込)