求人数の増加率高いのは、2024年問題かかえる「道路貨物運送業」、国内外への旅行需要回復の「航空運輸業」
同社によると、2022年後半から「流通」の求人数が増加傾向にあるという。この要因の一つに、「道路貨物運送業(宅配便・トラック運送など)」の求人数が増加トレンドにある、と指摘する。
背景として、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働規制が強化されることを見越して(いわゆる「2024年問題」)、トラックドライバー一人当たりの労働時間を短縮するために、各社は輸送を担う人材確保に力を入れているため、求人数の増加が起こっている。
また、2023年4~6月期の「航空運輸業」の求人数は、前期比の増加率が「流通」の中でも最も高く、「117%」の増加だった。
こうした求人数の増加の背景について同社は
「新型コロナの5類移行やインバウンド再開による国内外への旅行需要の回復に加え、夏休みの旅行需要増加に備えた採用強化などがあったと考えられます」「旅行需要が急減したコロナ禍初期~中期は、地上スタッフを中心に異業界への転職などを余儀なくされました。一部企業では既存社員を他社へ出向させるなど、新しい形での雇用を続けていたものの、異業界への人材流出の影響は大きく、今は急な需要の戻りに対して人手が足りない状況にあります」
と指摘している。
一方、「専門店(家電量販店)」の求人案件は2022年後半から大きく伸び、2023年4~6月時点で、前年同期比が459%となっている。
この背景として、同社によれば、家電量販店の生産性を上げて収益性を高めるための「DX人材の確保」があるという。
また、携帯電話の解約金撤廃を受け、気軽に通信キャリアや機種の変更ができるようになり、機種交換に対応する人材を集める「携帯電話販売のスタッフの確保」があるのだという。
こうした調査結果に対して、doda編集長の加々美祐介氏は以下のように総括している。
「今期は、求人数と転職希望者の増加率がほぼ同じだったため、結果的に転職求人倍率は横ばいとなりました。ただし、小売・流通業界では柔軟なはたらき方を求めて、他業種への転職を視野に入れ活動する人も多いことから、数字以上に企業の採用難易度は高い状態が続くでしょう」
「例年、7-9月期は、4-6月期と比べると転職活動が落ち着く傾向にあります。そのため、2023年7-9月期の転職希望者は減少すると予想します。一方で、急な人流回帰やインバウンド消費の影響を受けている小売・流通業界では、人手不足がますます深刻化しており、求人数は今後さらに伸びると予想します」