小売・流通業界での人材獲得競争が過熱している。
パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」は2023年8月9日に、2023年4~6月期の小売・流通業界の転職求人倍率や転職市場動向をまとめた「業界版doda転職市場動向レポート」を発表した。
調査によると、小売・流通業界において、前年同期比よりも大きく求人募集が上がったのが、家電量販店(459%)、航空運輸業(146%)、宅配便・トラック運送(143%)だった。
これらの求人増の背景として、同社によると、2024年問題を抱える物流業界の人材獲得や、家電量販店のDX人材獲得による生産性の向上を目指す施策、アフターコロナにおける航空運輸需要の増加などを指摘している。
23年4~6月機の小売・流通業界の転職倍率は0.49 転職希望者は前年同期比で109.8%と微増
doda転職求人倍率は、中途採用市場における需給バランスを表すもので、dodaの会員登録者(転職希望者)1人に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値で算出式は「求人数(採用予定人員)÷ 転職希望者数」となっている。
調査によると、2023年4~6月期の小売・流通業界の転職倍率は0.49となった。これは前年同期比で0.12ポイントの上昇。求人数は昨今の人手不足もあってか、前年同期比の146.4%となった。これは調査を始めた2019年以来最高の数値となった。一方で、転職希望者は前期比104.5%で、前年同期比で109.8%と微増している。
Dodaでは「今期は、求人数と転職希望者の増加率がほぼ同じだったため、結果的に転職求人倍率は横ばいとなりました。ただし、小売・流通業界では柔軟なはたらき方を求めて、他業種への転職を視野に入れ活動する人も多いことから、数字以上に企業の採用難易度は高い状態が続くでしょう」と指摘している。