東証上場企業の半分程度は「PBR1倍」割れ 東証、資本コストや株価を意識した経営を求める
純資産は、資産と借金を相殺して残った分。仮に、今日事業をやめ、資産を売って借金を返して残る額という計算になり、企業の「解散価値」ともいう。
A社の純資産が10億円、株式時価総額が8億円だったとすると、A社のPBRは0.8倍。8億円でA社を買収し、企業を解散したら、差し引きで2億円儲かる計算になる。
PBRが1倍を割るということは、株価が解散価値を下回る――つまり、事業を続けるより解散した方がいい、という話だ。
実は、東証上場企業の半分程度は、PBRが1倍を割っており、長年、日本の企業の成長力の弱さの象徴とされてきた。そこで、東証がPBR引き上げを企業に求めたというわけだ。
東証の狙いは「資本のコストを意識したリターンを上げる経営に取り組め」ということ。解散価値を下回る株価ということは、株式で集めた資金を有効に使っていないということだから、効率を高め、利益を上げることにより株価も上げていく――そういう経営にしなさい、ということだ。
具体的に東証が3月末に上場企業に示したのは「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」だ。年に1回、資本コストや資本収益性、市場評価について取締役会で分析・評価し、改善に向けた計画を開示することなどを要請。
PBR引き上げだけを求めたものではないが、日本経済の弱さの象徴として、一番注目されることになった。