住友化学株、2年7か月ぶり安値...第1四半期赤字を嫌気 「構造改革」アクセル踏み込み、巻き返しへ

石油化学品は需要減、農薬は過剰な流通在庫、飼料添加物は市況の下落で...苦戦が続く

   住友化学については、主力事業の石油化学品が中心のエッセンシャルケミカルズ事業で、コア営業損益が210億円の赤字(前年同期は100億円の黒字)と大幅に業績が悪化した。住友化学は「世界的な景気減退に伴う石油化学品の需要減少や合繊原料の事業撤退等により出荷が減少した」と説明している。

   なかでも、サウジアラビア国営石油会社「サウジアラムコ」との共同出資会社の販売が低迷した。合成樹脂などは市況が低水準で推移したことも響いた。

   さらに、健康・農業関連事業では、農薬が高水準な流通在庫の影響で、中南米、インドを中心に出荷が減少。飼料添加物は市況が下落し、収益が悪化した。この結果、コア営業損益が70億円の赤字(前年同期は219億円の黒字)に沈んだ。

   住友化学は4~6月期連結決算発表に合わせて、アナリストなどに構造改革のアクセルを踏み込む方針を表明した。

   従来、2023年3月期~25年3月期までの3年間で約250億円の「体質転換・合理化」を進めるとしてきたが、追加的なコスト削減を実施するといい、中間決算時に全体像を説明する方針。ただ、株価下落を食い止める効果は限定的だった。(ジャーナリスト 済田経夫)

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