今後のキャリアについて深く話し合う...キャリアの主人公は部下自身
上司は、3か月や6か月ごとの育成面談など節目の時期に、本人が自分でイメージしたキャリアを順調に歩めているか、聴いてみましょう。
まずまず順調なら、さほど心配はいりません。次期も引き続き、日々のOJTと週次や月次のPDCAサイクルを通して、フォローを続けていきましょう。
一方、自分のキャリアに不安や違和感があるようなら、本人の気持ちをじっくりと聴く必要があります。不安な内容は何で、それはなぜか。自分としてはどうすればよいと考えているか。何かアドバイスを望むことがあるか。気持ちに寄り添い、伴走していきましょう。
本人が仕事の目的と業績目標との関係を見失っているなら、そこをつなぐにはどう考えればよいか。ヒントを投げかけます。本人がやりたいことと、組織への貢献との間に乖離があるならば、両立の方法はないかを問いかけ、一緒に考えていきます。
上司が答えを教えるのではなく、上司の思いやヒントとして提供しつつ、部下の内省を促します。自ら考えさせ、答えを出すように導くことが基本です。
育成面談で十分気をつけたいことは、日々の仕事やスキルのOJTとは異なり、本人のキャリアに関する支援だという点です。上司の価値観や意見を強く押し付けてはいけません。キャリアの主人公は、あくまでも部下自身だからです。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。