背景に、原材料費や人件費の高騰...一律の値上げは、消費者離れの恐れから躊躇
こうした地域や店舗別の価格設定が増えている背景には、原材料費や光熱費、人件費などが急速に高騰していることがある。
どの店も経営が厳しくなっており、価格転嫁したいところだが、「単に価格を上げれば、消費者離れにつながるという恐れがある。来店客数が多い都心店などなら受け入れられる可能性が大きいと判断しているのだろう」(業界関係者)。
そもそも都心部の店舗の方が人件費などは高く、郊外や地方の店舗などより高い価格をつけるのは当然といえる。ところが、「特にチェーン店は長年、『全国一律』でやってきたので、簡単に価格差をつけられなかった」(同)という事情がある。
今回の物価高騰の中、大手が次々と地域別価格を取り入れ始め、大きな来客減につながらないと今後わかっていけば、同様の動きが加速する可能性は高い。「デフレ経済からの脱却の一つの動き」(大手紙経済部デスク)といえそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)