リスク分散が目的の「共同保険」 企業向け保険の9割超を大手4社が独占するという問題点
カルテルの温床になったのは、共同保険といわれる仕組みだ。
製造業やインフラ企業では火災や自然災害に見舞われた場合、損失が巨額になる可能性がある。損保1社では引き受けきれないため、複数の会社で契約を引き受け、リスクを分散するのが「共同保険」だ。
契約した企業は、参加した保険会社ごとにシェアを決定。このシェアに応じて企業が支払う保険料や、事故などの際にもらえる保険金が割り振られる。
問題は、損保業界の寡占化が進み、企業向け保険の9割超を4社が独占していることだ。共同保険も4社の担当者でまわすケースが圧倒的に多く、「情報交換」という名目で長年、談合が行われてきた。
関係者によると、最もシェアが大きい社が「幹事社」となり、事故などの対応に加え、各社の入札額などを取りまとめる役割も担っていたケースが多いという。担当者が代わるごとに引継書が作られていたといい、カルテルは業界の慣行となっていた模様だ。