ChatGPT、理想の回答を引き出す「ベストプロンプト」の作り方

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   生成AIのChatGPTについて、雑誌の特集、書籍の刊行に続き、ムックが登場した。

   本書「ChatGPT & 生成AI 最強の仕事術」(日経BP)は、デジタルメディア「日経クロストレンド」が、生成AIの関連記事をまとめたもの。雑誌の機動性と書籍のボリュームを合わせ持つムックならではの完成度に驚いた。ChatGPTは、これ1冊があればいい。

「ChatGPT & 生成AI 最強の仕事術」(日経クロストレンド編)日経BP

「ChatGPTでプレスリリースを実際に作ってみた」

   生成AIはPCやスマホの登場の登場に匹敵する転換点であり、すべてのビジネスパーソンが必須のスキルとして使いこなす時代になった、と冒頭で宣言している。

   ChatGPTを使うには、理想の回答を引き出す「ベストプロンプト」――つまり、「良い質問」が求められる。プロンプトのお手本として知られる、深津貴之氏による「汎用プロンプト」を紹介している。

   たとえば、文章の要約をする場合はこうだ。

「あなたは、プロのマーケターです。以下の制約条件と入力文をもとに、商品企画の要約を出力してください。
#制約条件:
・文字数は200文字程度
・小学生にも分かるように
・重要なキーワードを取り残さない
・文章を簡潔に
#入力文(ここに要約したい文章を入れる)

   このほか、「ChatGPTでプレスリリースを実際に作ってみた」という記事や2万人を対象にしたChatGPT活用実態調査、米起業家イーロン・マスク氏へのインタビュー、「文系でもスイスイわかるAIの新常識」など盛りだくさんの内容だ。

便利な100ツールを厳選

   実用的な特集もある。

   業務を効率化し、便利に使えるAIツールはChatGPTだけではない。現存するAIツールから便利な100ツールを厳選している。その中から日本語に対応し、無料で利用できるものをいくつか紹介しよう。

【Bard】 米グーグルが提供する対話型AIサービスで、ChatGPTのライバル。1つの質問に対して回答案を複数用意するのが特徴。回答をGoogleドキュメントやGmailにエクスポートできたり、質問や回答の内容をGoogleアカウント上に記録できたりするのも便利だ。今後、Googleの各種サービスと連係する予定だ。
【新しいBing】 米マイクロソフトが、検索サービス「Bing」に、大規模言語モデル「GPT-4」を組み合わせることで、最新の情報にも対応できるようにした対話型AI。回答のトーンは「厳密」「創造的」「バランス」から選択できる。マイクロソフトのWebブラウザー「Edge(エッジ)」上で利用する。
【ELYZA Pencil】 2~8個のキーワードから自動で文章を生成する、文章執筆AIのデモサイト。東京大学の松尾研究室発のスタートアップ・ELYZAが開発した「大規模言語AIイライザ」を使用している。デモサイトに用意されているジャンルは、ニュース記事、メール文、職務経歴書の3つで、約6秒で日本語のタイトルと文章を生成できる。利用登録不要。

エントリーシート作成をAIで支援するツールも!

   つづけて、見ていこう。

【ESガクチカAI添削(β版)】 就活生が作成したエントリーシート作成をAIで支援するツール。学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」を入力すると、どの部分をより深掘りしたらいいかといった着眼点を示す。どのような能力について記述されているかという分析も参照でき、自分の強みを認識しやすくする。
【NVIDIA Canvas】 米エヌビディアによる画像関連のAIツール。手描きで線を引いたり塗りつぶしたりした単純な画像からリアルな風景画像を生成する。9つの画像スタイルと、空や山など15種類の素材が用意されていて、それらをレイヤーで分けて使える。たとえば雪を草に変えたり、冬景色から熱帯の景色に変えたりといった画像のカスタマイズができる。
【CLOVA Note β】 LINEが開発した長時間の録音データ解析に対応する音声認識モデルを用いた、AI音声認識アプリ。録音から文字起こしを行い、音声記録として残しつつ、議事録やノート作成をサポートする。会話の途中にブックマークを付ける機能があり、記録を整理しやすくしている。現在はベータ版の位置づけで、毎月300分まで無料で利用できる。
【教えて、MENTAくん】 ChatGPTの技術を用いて、エンジニアのためのスキルアップを支援するLINEアプリ。LINEアカウントを友だち追加することで会話を開始でき、プログラミングに関する質問への回答や壁打ちができる。学習計画やキャリア相談、プログラミングの実装方法、利用するツールの提案を受けるなどの使い方ができる。

Webサイト上でChatGPTの機能を活用できる「拡張機能」も便利

   さまざまなWebサイト上でChatGPTの機能を活用できるようにするためのWebブラウザーの「拡張機能(プラグイン)」が多数登場している。

【ChatGPT for Google】 Google上で検索をすると同時に、Webブラウザーの画面右側にChatGPTの回答も表示できるようにする拡張機能。表示された回答の下部には入力欄があり、ChatGPTとの対話を重ねることができる。
【YoutubeDigest】 ChatGPTにより、YouTube動画の要約テキストを生成する、Webブラウザー用の拡張機能。長時間の動画でも簡潔に1パラグラフにまとめられるほか、主なポイントの箇条書き、ビデオのチャプターごとの掘り下げなどの設定ができる。要約したテキストはほかの言語にも翻訳できるほか、PDFやWordなどに変換できる。
【ChatGPT Writer】 ChatGPTの文章を生成する機能を用いて、メールやメッセージの作成、文法ミスの修正、テキストの要約などができるようになる。たとえばGmailに届いたメールに対して、文脈を読み取り、どんな返答を書いたらいいのかを提示してくれる。

   ChatGPTが有名になったが、生成AIはそれだけではない。生成AIの幅広さ、奥深さを知るための格好の1冊と言えよう。(渡辺淳悦)

「ChatGPT & 生成AI 最強の仕事術」
日経クロストレンド編
日経BP
1430円(税込)

姉妹サイト