ストレスを楽しもう
私が以前、コンサル会社に勤務していた時、行動規範に「ストレスをコントロールせよ」というものがあった。ストレスは、成果や行動に影響を与えるものと考えられていた。ストレスをコントロールしていくことが重視されていたのである。樺沢さんは次のように指摘する。
「人間関係がストレスだというのは、人の言うことや態度を真に受けてしまうからです。闘牛を思い浮かべてみてください。猛牛があなたに向かってきます。あなたはこの牛を真正面から受け止めようとしています。体当たりをされればはね飛ばされるでしょう。踏ん張れても牛は何度でも体当たりしてきます。そしてはね飛ばされます」(樺沢さん)
「一方、プロの闘牛士は牛とぶつかることはありません。ひらりひらりとかわします。これはストレスをスルーしているのと同じです。だからはね飛ばされることもなく、そのうち牛のほうが疲れてしまいます。ストレスは日常生活の中にいくらでもあります。毎日楽しいことばかりではありません」(同)
私にも多くの職歴があるものの、人間関係が円満だった職場は皆無に近かった。だから、ストレスをコントロールしていくしかないのである。また、人にはそれぞれ言い分があることも理解しなければならない。
つまり、職場の人間関係などどうでもいい。会社を辞めれば、二度と会わない関係にエネルギーを費やすなど愚の骨頂である。そんなものより、家族やパートナー、趣味を大切にしたい。嫌な人間関係は適当にあしらいスルーすればいい。本書はストレスの本質を説いている。多くの人に気づきになるかもしれない。(尾藤克之)