会社の中でも契約書や請求書、帳票などの紙の書類と接しているのはバックオフィスの人たちだろうか。
アドビ株式会社(東京都品川区)は2023年8月7日にバックオフィス業務(経理・財務・会計・人事・労務・総務・法務関連業務)に携わる会社員を対象にした、「バックオフィス業務のデジタル化に関する調査」の結果を発表した。
それによると、紙の書類をデジタル化したい(すべてデジタル化したい:19.7%、なるべくデジタル化したい:45.4%)と考えているのは、65.1%に上ることがわかった。
話題の生成AIの活用について、日々の業務で「取り入れている」人は21.2%(積極的に取り入れている:5.8%、少しは取り入れている:15.4%)」に留まった。その一方で、これからのビジネスで最新テクノロジーの活用が必要だと思う人は59.0%(とても必要:17.4%、どちらかというと必要:41.6%)となっており、こうした最新のテクノロジーの積極活用に、企業のペーパーレス化への秘訣がありそうだ。
紙で処理している作業をデジタル化したい? 65.1%が「デジタル化」希望
この調査は、2023年6月7日から12日まで、インターネットでおこなわれ、経理・財務・会計250人と、人事・労務・総務・法務250人の計500人を対象とした。
はじめに、定期的に発生する業務(ルーチン業務)が多いと思うかを聞いた。「とても多いと思う」が「16.4%」、「どちらかというと多いと思う」が「36.8%」で、合わせて半数以上の「53.2%」が普段の業務の中でルーチン業務が多いと感じているようだ。
続いて、紙の資料の使用頻度について聞いたところ、「毎日使用している」が「52.8%」、「週に3~4日ほど使用している」が「19.0%」、「週に1~2日ほど使用している」が「19.4%」、「全く使用していない」が「8.8%」となった。
また、現在、紙で処理している作業をデジタル化したいと思うかについて質問すると、「全てデジタル化したい」は「19.7%」、「なるべくデジタル化したい」は「45.4%」となり、あわせて「65.1%」の人が仕事のデジタル化を求めていた。
業務別でみると、最も多かったのが「見積書/請求書」で「54.6%」。次いで「領収書」が「49.6%」、「打ち合わせ資料」が「46.9%」と続いた。
日々の業務で「生成AI」は使う? 「積極的に/少しは取り入れている」21.2%...まだ少数派
つぎに、デジタル化と働き方改革の関係について質問した。
テレワークの導入や法改正などによってデジタル化が進んだと感じているか聞いたところ、「とても進んだと思う」は「18.4%」、「どちらかというと進んだと思う」が「42.4%」となった。あわせて、「60.8%」がデジタル化の進展を実感しているということになる。
さらに、デジタル化の進展を実感している回答者のうち、デジタル化により働き方が柔軟になったと考える割合は、「とても思う」が「22.4%」、「どちらかというと思う」が「57.2%」で、あわせて「79.6%」となった。
一方で、話題の生成AIの活用についても質問した。日々の業務の中で生成AI技術を取り入れているか聞くと、「積極的に取り入れている」が「5.8%」、「少しは取り入れている」が「15.4%」となり、あわせて「21.2%」に留まった。
職種別で見てみると、「人事・労務・総務・法務」に携わる人では、生成AI活用率は「24.8%」。「経理・財務・会計」に携わる人では「17.6%」だった。「人事・労務・総務・法務」の人のほうが7.2ポイント高いことになる。
これからのビジネスにおいて最新テクノロジーの活用が必要か聞いたところ、「とても必要だと思う」の「17.4%」と、「どちらかというと必要だと思う」の「41.6%」をあわせて、「59.0%」が必要だと思うと回答している。
バックオフィス担当者に、新しいスキルを身につけるにあたっての問題点も聞いた。
それによると、「時間がない」が「26.7%」と最も多い結果となった。次いで「お金がかかる」(26.0%)、「やる気を継続できない」(16.1%)と続いた。
また、「会社にスキル取得のための支援制度がない」も「6.2%」となり、会社側の制度や体制も少なからず課題となっているようだ。
アドビ株式会社のビジネスデベロップメントマネージャーの岩松健史氏は、以下のように指摘している。
「ここ数年のコロナ禍を経て、国内のバックオフィス業務はデジタル化が進み、担当者の働き方はより柔軟になってきました。一方で、9割以上が週に1日以上は紙の書類を使用しているなど、デジタル化の余地は未だ多いと考えます」
アドビでは、バックオフィス業務のさらなる情報管理の効率化を促し、快適な働き方の支援を今後も続けていくという。