世界がインフレと戦う中、中国経済が「ダブル・デフレ」に? エコノミストが指摘「中国はバブル崩壊後の日本と同じ、失われた30年を歩む」

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「習近平の優先課題は、国有企業を通じた経済安保の強化だけ」

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経済の最先端・深セン市の夜景

   ズバリ、「中国政府の対策には期待できない」と指摘するのは、ソニーファイナンシャルグループのシニアエコノミスト宮嶋貴之氏だ。

   宮嶋氏はリポート「中国経済見通し:中国株は7月続伸も景気対策への期待先行が主因 政府には金融市場が期待するような刺激策実施の意図なし」(8月9日付)のなかで、鉱工業生産の国有企業と民間企業の伸び率の差を示したグラフ【図表2】を示しながら、習近平体制では民間に対する景気刺激策は期待できないとしてこう述べている。

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(図表2)国有企業の生産は好調、民間企業は低調(ソニーファイナンシャルグループの作成)
「7月下旬に行われた政治局会議において、不動産市場へのてこ入れを示唆する文言が発表されるなど、当初想定に比べれば景気刺激色が濃い内容と金融市場では評価されたようだ。
しかし、その見方は楽観的過ぎであり、むしろ中国政府の姿勢はあまり変わっていないと評価するのが妥当だろう。結局、政治局会議では大幅な財政出動を伴う具体的な景気刺激策の発表はなかった。
筆者(=宮嶋氏)は、従来から習近平政権3期目の優先課題は中国式現代化(国有企業を通じた管理監督の強化や経済安保の強化に資する産業の高度化等)であり、高いGDP成長率の誇示ではないとみている」
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人民元(写真はイメージ)

   そして、こう結んでいる。

「2023年上期の成長率はプラス5.5%と、政府目標の5%前後を上回ることもあり、政府が大型の景気刺激策を打ち出す可能性は低いのではないか。また政府が関与を強めている分野が足下好調であることも、こうした政府方針の一因だろう。
鉱工業生産をみると【図表2】、国有企業の生産の伸び率は高まりつつある。一方、民間企業の生産は6月に復調の兆しはあるも、基調としてはまだ弱いままだ」
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