日本経済団体連合会(経団連)は2023年8月9日、傘下の大手企業の夏のボーナス妥結状況(最終集計)を発表した。
従業員1人当たりの平均額は90万3397円で、昨年の89万9163円より0.47%増えた。90万円台になるのは3年ぶりで、コロナ禍前の2019年の92万1107円以来の高水準だ。
経団連が集計した春闘の月例賃金でも、定期昇給とベースアップを合わせて1992年以来の高水準の3.99%増となっており、経団連では「賃上げのモメンタム(勢い)は維持されている」としている。
トップは「建設」125万円、「電力」は12%ダウンの67万円
経団連がホームページ上に公開した「2023年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」によると、原則として従業員500人以上の19業種、161社の妥結状況を業界団体の協力を得て集計した。
製造業の平均は95万2574円(昨年比3.50%増)、非製造業の平均は77万7293円(昨年比6.24%減)と、コロナ禍からの復活が著しい製造業と、回復途中の非製造業で明暗を分けたかたちだ。
19業種のうち、昨年より上がったのが10業種、下がったのが9業種だった。
業種別に見ると、100万円の大台を超えたのが、建設(125万2850円、2.73%減)、食品(109万665円、10.54%増)、機械金属(106万8372円、13.11%増)、自動車(101万2763円、13.81%増)。
このほか、コロナ禍から回復で顧客が増えた鉄道(77万887円、10.77%増)、商業(81万7699円、10.30%増)、情報通信(88万3134円、7.03%増)などの伸び率アップが目を引いた。
一方、資源エネルギー価格の高騰などで減少が目立ったのが電力(67万30円、11.75%減)、セメント(67万3612円、10.20%減)、非鉄・金属(81万1744円、7.37%減)、繊維(77万7280円、6.19%減)、化学(90万2107円、5.93%減)など。
報道によると、経団連の新田秀司労働政策本部長は「それぞれの企業が自社に最も適した形の賃上げ方法を選んだ結果で、全体として賃金引き上げの勢いは維持されたと評価している」とのコメントを発表している。(福田和郎)