LOVOTの目指すところは「ドラえもん」!?
林氏は23年5月19日に著書「温かいテクノロジー」(ライツ社)を刊行。同書の後半には「ドラえもんの造り方」と銘打たれた章が存在するなど、「ドラえもん」に言及する箇所が存在する。
――林さんの著書「温かいテクノロジー」の前書きには「この先LOVOTが進化し、たどり着く存在。それは『ドラえもん』です」という一節がありますね。
林氏 多くの方はドラえもんについて語る際には「四次元ポケット」など「ひみつ道具」について語りがちです。しかし、それはあくまで道具であって、ドラえもんのことではありません。
――たしかに、同作はとかく、ひみつ道具のシーンばかりが注目されがちですね。そうではなくて、「日常生活でのび太と触れ合っている最中のドラえもん」がLOVOTの目指すところということでしょうか。
林氏 ドラえもんという「個体」が果たしている役割とは、「のび太に寄り添っていること」「気兼ねなく話せる仲であること」「決して裏切らないこと」というものがあると、私は考えています。そして、ドラえもんはのび太を一般的に言われる「優等生」的な方向へ必ずしも導いているわけではありません。「優等生」的な方向が良いという価値観は、その時代のバイアスとも言えるので、そこに誘導しないことは重要な点なのです。
――ドラえもんからはのび太を「生産性が高い人間にしようと思っている」といった兆候は感じられませんね。
林氏 はい、そここそが、ドラえもんの存在意義だと考えています。
――何だか、LOVOTとの共通性が見えてきたような気がします。
<LOVOTは、人類を幸福にするための「気づき」を与えるきっかけとなるか?【後編】/GROOVE X代表取締役社長・林要さん>に続きます。
(聞き手・構成/J-CAST 会社ウォッチ編集部 坂下朋永)
【プロフィール】
林 要(はやし・かなめ)
GROOVE X
代表取締役社長
1973年生まれ。愛知県出身。1998年にトヨタ自動車株式会社に入社。スーパーカー「LFA」やF1のエアロダイナミクスの開発に携わるなどしたのち、2012年にはソフトバンクに入社。パーソナルロボット「Pepper」の開発プロジェクトに参加。15年にはGROOVE Xを起業し、19年12月に「家族型ロボット」として「LOVOT」の出荷を開始した。