都内には意外と、「山」がつく地名が多い。そのうえ、同じ「山」でも、地域によって家賃相場は大分違いがあるようだ。
LIFULL(東京都千代田区)は2023年7月28日、8月11日の「山の日」にあわせて、「『山』がつく家賃の高い/安い駅ランキング(東京篇)」を発表した。
それによると、中央区や渋谷区、千代田区にある「山」のつく地名では、家賃相場は軒並み10万円を超えている。その一方、八王子市、多摩市、東村山市にある「山」がつくところでは4万円~6万円ほどで借りることができるという。
家賃の「高い」駅...1位「青山一丁目」15万2000円、2位「溜池山王」14万9000円、3位「代官山」13万7000万円
8月11日は「山の日」。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」という趣旨で、2014年(平成26年)に法律改正案が国会で成立、国民の祝日となった。
はじめに、「山」のつく家賃の「高い」駅ランキングをみてみよう。
1位となったのは「青山一丁目」(中央区:家賃相場15万2000円)。次いで、「溜池山王」(千代田区:家賃相場14万9000円)、「代官山」(渋谷区:家賃相場13万7000万円)。
以下、4位は「馬喰横山」(中央区:11万1000円)、5位は同率で「飛鳥山」(北区:9万6000円)、「武蔵小山」(品川区:9万6000円)という結果になった。
同社の調べによると、それぞれの地名の由来では、1位の「青山」は、天正18年(1590年)に土地を与えられた、徳川家重臣の青山忠成から続く「青山家」の名が起源とされている。
3位の「代官山」は代官の屋敷があったから、代官の持ち物の山林があったから、などとされるが、その名の由来を示す資料は残っていないらしい。
5位の「飛鳥山」は、まさに山(台地)が由来。ちなみに、国土地理院の地図では、東京都で一番低い山として掲載されている「愛宕山」(標高25.7m)よりも低い山(標高25.4m)ということが、2006年の区の調査で判明したという。
家賃の「安い」駅...1位「山田」(京王高尾線)4万7000円、2位「京王永山」(京王相模原線)&「小田急永山」(小田急多摩線)5万3000円
続いて、「山」がついて家賃の安い街のランキングを見てみよう。
1位は京王高尾線の「山田」(八王子市:家賃相場4万7000円)、2位は京王相模原線の「京王永山」と、小田急多摩線(多摩市:家賃相場5.3万円)の「小田急永山」(多摩市:家賃相場5.3万円)がランクイン。
3位は京王高尾線の「高尾山口」(八王子市:家賃相場5.65万円)。4位は、西武新宿線ほかの「東村山」(東村山市、家賃相場5.8万円)。5位は、西武新宿線ほかの「荻山」(東村山市:家賃相場6.2万円)という結果になった。
気になるそれぞれの地名の由来は? 同社の調べによると、「東村山」の「村山」の由来は「群山(むれやま)」が訛って「村山」になったといわれているそう。
また、同じ東村山市にある「萩山」は、その名の通り、萩の花が武蔵野の秋を美しく彩ったと伝えられているようだ。もっとも、現在では、宅地化が進み、その面影もわずかに残すだけとなっている。
LIFULL HOME'S総研 副所長/チーフアナリストの中『山』登志朗(なかやま・としあき)さんは、次のように指摘している。
「代官山や浜田山、城南五山(池田山、島津山、花房山、御殿山、八つ山)など、都内で山がつく地名や駅名は、高台の瀟洒な住宅地のイメージが強く、実際に高級住宅地が多いことから賃料も高い印象があります」
「駅名や地名の由来を知ることは、そのエリアに愛着が湧くきっかけにもなるので、ぜひ住んでいる&住もうと思っている街の名前の由来を調べてみてください」
なお、この調査では、東京都内で「山」の漢字がつく駅を対象としたものだ。対象物件では、「LIFULL HOME'S」に掲載された築40年以内、駅徒歩20分以内、専有面積15平方メートル以上40平方メートル未満の賃貸物件とした。調査期間は、2022年7月から2023年6月まで。なお、家賃相場は、管理費を含む月額賃料から中央値を算出している。