2024年春卒業する大学生や大学院生の就職活動が終盤戦に入った。
リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」(東京都千代田区)が2023年8月9日に発表した、2024年卒大学生・大学院生が対象の「就職プロセス調査(2024年卒)『2023年8月1日時点 内定状況』」によると、8月1日時点で早くも内定率が約87%、進路確定率が約77%と過去最速水準のペースで進んでいる。ただし、内定辞退者も増えているから、まだまだチャンスは残っている。
内定者、ダントツに高い情報・通信、次いで製造、金融保険業
調査によると、就職内定率(大学院生を除く)の86.6%は、同じ時点の昨年(2023年卒対象)の87.8%を0.8ポイント下回っている【図表1】。
これは、現行の「6月解禁」の採用活動日程になった7年前の「2017年卒」の調査を開始して以来、過去最速だった昨年に次ぐ2番目の内定率だ。「2017年卒」の8月1日時点の内定率は79.3%だったから、7.3ポイント上回る早いペースだ。
内定率を文理別で見ると、「文系」が85.0%、「理系」が90.3%と、「理系」のリードが目立つ。男女別では、男性(87.3%)のほうが女性(85.8%)よりやや高い。7月1日時点では差はもっと小さかったから、ここにきて男性陣の追い込みが目につく。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が29.0%と、ダントツに高いことが特徴だ。日本政府が「ChatGPT」など生成AI(人工知能)の本格的な開発推進を決めたことに表れているように、ITスキルを持つ人材は世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むためだ。
次いで、コロナが落ち着いたことで企業活動が活発化した製造業(機械以外、17.6%)、機械器具製造業(15.2%)、サービス業(13.6%)、金融保険業(12.4%)、小売業(10.4%)などが上位に並んだ【図表2】。
内定を取得した企業数をみると、平均2.47社で、前年の2.40社よりやや増えている。内定取得者のうち2社以上内定を取得した学生の割合は64.0%で、前年の63.2%よりやや高い【図表3】。