「これで日本銀行の出口戦略は遠のいた?」
こうした結果をエコノミストとはどう見ているのだろうか。
ヤフーニュースコメント欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が、今回の結果が日本銀行の政策に与える影響について、
「植田体制になって、日銀はフォワードガイダンス(金融政策の先行きについて示す指針)に賃金を盛り込みました。そして、日銀は2%の物価目標を念頭に置き、名目賃金上昇率は3%、つまり実質賃金が1%上昇する姿が理想であると説明してきています。このため、現時点で2%台前半である名目賃金が3%、かつ現時点で15か月連続マイナスの実質賃金が安定して1%を上回る状況を見通せないと、望ましい姿での物価目標達成とは言えないと思います」
と説明。そのうえで、
「このため、今回の毎月勤労統計は、少なくとも来年の春闘の結果が賃金に反映されるまでは金融緩和の出口には向かえないとの可能性を高めた結果と言えるでしょう」
と、日本銀行の出口戦略が遠のいたと指摘した。