AI時代に、司法書士はなぜ優位?...ダイヤモンド「儲かる資格」、東洋経済「変わる相続・登記」、エコノミスト「日米相場」を特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

A相続登記義務化で、司法書士の仕事は増える予想

   2023年8月7日発売の「週刊ダイヤモンド」(2023年8月12日・19日合併号)の特集は、「儲かる資格 楽して稼げる副業 コスパ最強の学び直し」。ChatGPTに代表される生成AIによって、市場環境が一変した資格や副業の最新事情をリポートしている。

   空前の「AI時代」に優位な士業として、同誌が注目しているのが、「司法書士」だ。相続登記義務化で、この先、仕事が確実に増えることが予想されるという。

   学歴や経歴が不問で、40代でも取得後、十分に開業を目指せるのが司法書士の特徴だ。合格率は5%強の狭き門だが、試験の出願者数は減少傾向にあり、その分「穴場」だとも。

   「司法書士白書」(21年版)の年収に関するアンケート調査によると、事務所勤務の司法書士の場合は、「年収300万~600万円未満」が全体の54%と過半数を占める。その一方で、独立開業している場合は、「売上金額で1000万円以上」との回答が52%に上った。

   登記などの申請業務がオンラインで可能になり、一人でも開業できることが強みだという。試験は11科目に及び、試験時間もタイトなので、「試験慣れ」も必要になる。このため、5回目の挑戦で合格する人も少なくないので、長期間にわたり地道な努力を継続する気力が求められるそうだ。

   司法書士と比べ、行政書士は「先行き不透明」だとしている。代表的な業務である自動車の登録申請など書類作成において、行政のデジタル化が進んだことで、オンラインで自力で申請する人が増えているからだ。さらに生成AIが、この傾向に拍車をかけると見られる。

   専門知識が必要な法律系資格の少なくない数がAIで代替できると見込む関係者は多く、将来的な変化を見越して挑戦する必要があるという。

   社会保険労務士は、独立開業してから真の勝負が始まるそうだ。人気資格で同業者が年々増えており、税理士との接点など、「稼げる金脈」をどうつくるかを解説している。

   国際系の資格として勧めているのが、USCPA(米国公認会計士)だ。日本の公認会計士よりも合格率や試験回数の面で取得しやすいという。

   年収は米国の方が圧倒的に高く、休暇も取りやすいので、海外勤務を目指す人にはお勧め。しかし、十分な英語力が求められるのでハードルも高そうだ。

◆就活に役立つ資格は?

   文系出身でも半年以内で取得が目指せる4つのIT系資格を紹介している。

   1つは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する「G検定」だ。ディープラーニング(深層学習)とは、AIの機械学習の1つだが、AIについて学ぼうという人なら、まずはこの検定を受けようという存在になっているという。

   このほかに、データ分析実務スキル検定(CBAS)や、プログラミングに関する「VBAエキスパート」、ITエンジニアの登竜門とされる「基本情報技術者」を挙げている。

   東大卒で893の資格を持つ「資格王」の資格・勉強コンサルタントの鈴木秀明さんが、大学生の就活に役立つ資格を厳選している。

   日商簿記3級を持っていれば十分アピール材料になるという。また、宅地建物取引士も「けっこう難しい資格」というイメージがあるので、高評価の対象になる。

   短期間で合格可能な「ファイナンシャル・プランナー技能検定」もコスパが高い。TOEICも500~600点あれば、そこそこ評価されるので、勧めている。

   その英語だが、「1カ月でTOEIC500点から800点へ」と爆上げする勉強法をまとめている。篠原塾塾長の篠原好さんは、とにかく「問題演習」することを勧めている。

   公式問題集が出版されているので、片っ端から解くことだ。時間を気にせず、いきなり解いてみる。そのうえで体系的な英語の勉強をすると、効果的だそうだ。

相続・登記のルールが2024年から大きく変わる

   「週刊東洋経済」(2023年8月12日・19日合併号)の特集は「相続登記空き家2024年問題」。相続や登記・空き家にまつわるルールが、2024年から大きく変わる。正しい理解と早めの備えが肝心だ。

   各種のルール改正の中でも、影響範囲が最も広いのが、24年4月に開始される「相続登記の申請義務化」だ。

   たとえば、亡くなった親から実家を受け継いだ場合、現在は相続登記(名義変更)の申請をする義務はない。そのため、数十年にわたって名義が変更されず、長年放置されたことで実質的な所有者がわからなくなり、処分しようにもできずに廃墟化する不動産が、全国に急速に増殖している。相続登記の申請義務化は、それを防ぐために導入される制度だ。

   空き家が招く「国土廃墟化」について、警鐘を鳴らしている。

   総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家数は849万戸で、住宅総数に占める割合は13.6%。7戸に1戸が空き家状態にある。

   その中でも賃借や売却ができない「その他住宅」が、空き家全体の41%を占め、社会問題になりつつある。そうした住宅の割合が最も高いのは、高知県で12.7%。トップ10には四国4県がすべてランクインしており、対策が待ったなしの状況にある。

   空き家所有者がしておけばよかったと後悔したことをまとめている。

   1位は「家財の処分方法や費用などの確認」、2位は「空き家予防のための情報収集」、3位は「専門家への相談」、4位は「相続手続きや税金などの情報収集」となっている。

   同誌が2600人を対象に行ったアンケート調査の結果も興味深い。

   「ゴミ屋敷状態の実家の片付けを業者に依頼したところ100万円を要し、10人で4日間、2トントラックで12台分の廃棄物が出た」「押し入れの中に使わない物がたくさん押し込まれており、業者に処分費用を聞くと、50~80万円を提示された。死ぬときは物と一緒にお金をセットで残す必要があると思う」など、切実な声が寄せられている。

   タレント・女優の松本明子さんのインタビューに驚いた。松本さんは、両親の死後、空き家になった実家を25年にわたり維持し続け、リフォームを含む費用は1800万円を超えたという。

   「実家の方向性を家族で共有しておくことが大切だ」といい、経済的にも体力的にも大変になるので、実家じまいは先延ばしにしないよう、アドバイスしている。

生成AIに期待する、日米の相場の行方は?

   「週刊エコノミスト」(2023年8月15日・22日合併号)の特集は、「日米相場総予測2023」。日経平均は3万6000円目指す、「軟着陸」で米株は3万7000ドルという触れ込みで、注目すべきレポートをまとめている。

   日本株では、大和証券常務理事チーフテクニカルアナリストの木野内英治氏が、「生成AI期待だが年後半調整も」と見ている。日経平均株価と半導体関連の在庫率は、コインの裏表の関係にある、とグラフをもとに解説している。

   現在の電子部品・デバイス工業の在庫率指数からすると、株価がやや先走り過ぎている、と指摘。AIに対する期待感が高まる一方で、株式市場はいつスピード調整に入ってもおかしくないという。

   スマートフォンの買い替えサイクルに注目。今秋のiPhoneの勢いは限定的になりそうで、10月の決算発表では半導体関連株の反応は、現在とは異なる可能性があるという。それでも日経平均の水準は3万1000円程度の軽微な下げで済むと期待している。

   日本株への期待が高まる中、こうした分析があることを知っておきたい。

   米国株に関して、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、「米経済の軟着陸への期待から、史上最高値の更新が期待される」と見ている。

   7月下旬、ダウ平均は1987年以来となる13連騰を記録。史上最高値(3万6799ドル)まであと3%の上昇率で届く。

   下半期の展望として、秋口まで高値圏での保ち合いで推移し、来年の企業業績回復と長期金利の天井が確認される年末近くになって騰勢を強め、史上最高値更新を試すと想定している。

   中国経済について、第一生命経済研究所主席エコノミストの西浜徹氏は、長期にわたるゼロコロナ政策の影響で若年層を中心とする雇用環境が悪化しているうえ、不動産需要が低迷し、足かせになっている、と指摘する。

   欧米も「中国リスク」を警戒。世界経済をけん引してきた中国経済だが、コロナ後は失速リスクが高まり、年後半の中国景気に対して過度な期待を持つのは難しいという。

   欧州経済について、日本総合研究所研究員の後藤俊平氏は、景気減速が続く見通しだとみる。エネルギー価格の高騰は一服したものの、インフレを受けた金利上昇で住宅や設備投資が抑制されるからだ。

   内需の減速に加え、外需の景気けん引力も弱い。とりわけ、中国に多くの自動車を輸出するドイツなど輸出依存度が高い国への影響が大きいという。

   冬場にかけて、例年以上の気温低下でガス需要が増加した場合、ガス価格が再び大きく押し上げられる可能性があり、景気の下振れリスクが高まることを警戒している。(渡辺淳悦)

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