日銀、金融緩和政策を「軌道修正」 住宅ローン金利への影響は?...専門家が解説(中山登志朗)

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「植田ショック」に合わせ、岸田政権の経済対策も公表されるべきでは?

   本来、金融緩和策は、将来の消費や投資を現在に前借りする政策であり、高い生産性を前提としなければ前借りする意味がありません。

   しかし、低金利政策が10年以上続いたことで経済の新陳代謝が鈍り、結果的に潜在成長率は0.3%まで縮小しています。

   この財政規律の緩み(日銀の国債買入額は2022年度末で約581兆円まで積み上がっていて財政ファイナンスとも揶揄されています)を引き締めなければ、将来に大きな禍根を残すことになります。

   ですから、財政の健全化に着手するためには適正と考えられる金利水準まで、緩やかにかつ極めて慎重なプロセスを経て引き上げることが求められています。

   また、金融政策のみで景気を浮揚させることができないことは、この10年間の異次元緩和が示すところでもあって、何よりも確実な将来に対して処方箋としての成長戦略が必要です。

   その意味で、「植田ショック」に合わせた岸田政権の経済対策が何らか公表されてしかるべきかと思います。

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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