SDGsはビジネスチャンスに?...「売上増」「新規事業」にも 取り組みに積極的な中小企業も調査以来、初の過半数超え

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   SDGsに取り組んだ企業の成果と効果とは――?

   帝国データバンク(東京都港区)が2023年7月27日に発表した「SDGsに関する企業の意識調査(2023年)」によると、中小企業にフォーカスした場合、SDGsの取り組みは「意味および重要性を理解し取り組んでいる」が24.3%、「(SDGsの)意味もしくは重要性を理解し取り組みたいと思っている」が26.1%となり、あわせて50.4%と過半数を超えた。これは調査以来、初めてだという。

   SDGs各目標に力を入れている企業が、取り組みによって実感している効果では、「企業イメージの向上」(38.1%)、「従業員モチベーションの向上」(32.9%)、「経営方針などの明確化」(18.1%)が上位を占めた。

   同社では「『売り上げの増加』が12.7%、SDGsをビジネスチャンスとして捉え『新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発』につながった企業が8.7%となった」と、ビジネスチャンスの可能性も指摘している。

SDGsに積極的な業界 「金融」72.0%、「農・林・水産」64.8%、「製造」59.9%で上位に

   この調査は、2023年6月19日から30日までの期間でおこなわれ、調査対象は全国2万7771社。有効回答企業数は1万1105社(回答率40.0%)を得た。同社でのSDGsに関する調査は今回で4回目。

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(帝国データバンクの作成)

   はじめに、自社におけるSDGsの取り組みについて聞いた。SDGsについて「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は「27.4%」となり、前回調査(2022年6月)より3.8ポイント増加した。

   また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は「26.2%」で2.4ポイント減少した。

   この2つをあわせた「SDGsに積極的」な企業は、前年比1.4ポイント増の「53.6%」となった。

   一方で、SDGsについて「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」は「34.6%」、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」は「7.2%」だった。

   合計すると、SDGsを認知しつつも、取り組んでいない企業は「41.8%」となり、前年(42.7%)より0.9ポイント減少だった。前述の「SDGsに積極的」な企業を10ポイント以上、下回る結果だった。

   いまや、SDGsへの取り組みには前向きな企業が多いといえるだろう。

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(帝国データバンクの作成)

   会社の規模別ではどうか。それによると、「大企業」では「SDGsに積極的」な企業が「71.6%」。全体(53.6%)を大幅に上回った。また、「中小企業」では「50.4%」、うち「小規模企業」では「42.8%」となった。

   同社は、「依然として企業規模間に格差はあるものの、『中小企業』は調査開始後初の5割超えとなり、規模の小さい企業でもSDGsに取り組む姿勢が高まってきている」としている。

   さらに、業界別にみると、「金融」が72.0%で最多に。次いで、「農・林・水産」が「64.8%」、「製造」が「59.9%」と、これらの業界は全体(53.6%)を上回った。

SDGsで力を入れている項目は「働きがいも経済成長も」32.8%で最多に

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(帝国データバンクの作成)

   続いて、SDGsのゴールである17の目標のなかで、現在力を入れている項目を聞いた。働き方改革や労働者の能力向上などを含む「働きがいも経済成長も」が、「32.8%」で最多となった。

   次いで、再生可能エネルギーの利用などを含む「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(25.0%)、リサイクル活動などを含む「つくる責任つかう責任」(24.1%)、カーボンニュートラル製品開発などを含む「気候変動に具体的な対策を」(22.6%)が続く。

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(帝国データバンクの作成)

   では、今後力を入れていきたい項目は――。これについて質問すると、「働きがいも経済成長も」が「12.1%」で最多に。全項目のなかで唯一、10%を超えた。次いで、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が「8.1%」や、「気候変動に具体的な対策を」は「7.2%」などで上位に上がった。

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(帝国データバンクの作成)

   このほか、取り組みによる効果を聞いた。それによると、「効果を実感」している企業の割合は69.2%だった。具体的な効果として、「企業イメージの向上」が「38.1%」、「従業員モチベーションの向上」が「32.9%」、「経営方針などの明確化」が「18.1%」などが上位を占めた。

   帝国データバンクでは、「『売り上げの増加』が12.7%、SDGsをビジネスチャンスとして捉え『新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発』につながった企業が8.7%あり、社会課題の解決と企業の成長は両立できることを示した事例がでている」としている。

   最後に、同社は調査について、

「SDGsに取り組む企業の約7割が取り組みの効果を実感していることが分かった。
『企業イメージの向上』が4割近くでトップとなり、『従業員のモチベーションの向上』など非財務面での企業価値の向上に関する効果が上位に並んでいた。
また、『売り上げの増加』や新商品開発等につながった企業もあり、SDGsへの取り組みは社会課題の解決への貢献だけでなく、企業価値の向上やビジネスチャンスの獲得、ひいては業績の改善にも結びつくようだ」

   とSDGsに取り組む効果を指摘。そして、

「一方で、特に中小企業からは『どのように対応すれば良いかわからない』や『人材面・費用面での余裕がない』といった声が依然として多く聞かれた。
しかし、SDGsへの取り組みには、『ペーパーレス化』や『ワーク・ライフ・バランスの推進』などといった、多額の費用や新たな人材を投入せずに推進できるものもあり、気軽にできることから始めてみるとよいではないだろうか」

   と中小企業の課題についてコメントした。解決に向けては、

「また、官民が一体となって、実際の取り組み事例などの情報発信の強化に加え、費用が発生する取り組みに対して補助金制度など公的支援によるサポートが望まれる」

   と指摘している。

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