ウォール街も困惑、インフレ強弱マチマチな米雇用統計...エコノミストが指摘「8月10日、消費者物価が正念場だ」「米株価下落とドル安の岐路に!」

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リモートワークの定着が、インフレが続く要因の1つ?

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ニューヨーク証券取引所

   一方、「利上げ打ち止めとみるのはまだ早い」と、指摘するのは野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「雇用増加ペースは正常化も労働需給ひっ迫続く:リモートワークが生産性を下げているか(7月米雇用統計)」(8月7日付)のなかで、コロナ後に米国の経済指標がよくマチマチの結果が出て、ややこしくなった背景の1つとして、興味深い説を紹介している。

   リモートワークが増えたことが、労働生産性が上昇しない要因の1つかもしれないというのだ。

   どういうことかといえば、労働生産性上昇率が高まると、雇用増加ペースが下振れなくても、労働需給が緩和され、インフレ圧力が低下していく。木内氏はそう指摘して、こう述べる。

「米国では、リモートワークが定着していることが、従来と比べて労働生産性の改善を妨げている、との指摘もある。スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授ら3氏は、リモートワーク(週に数日ではなく、完全リモートワーク)によって労働生産性が低下しているとしている。
他の従業員とのコミュニケーションに手間と時間がかかるほか、社会的交流やフィードバックが減少すると、創造性や学習能力が低下することが生産性を下げる原因だとしている。
ブルーム教授らの分析が正しいとすれば、景気情勢が先行き悪化し、従業員が好むリモートワークに寛容でなくなれば、労働生産性が向上することになるだろう」
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ウォール街の街並み

   さて、FRBは今後利上げを続けるのかどうか。木内氏はこう指摘する。

「今回の雇用統計は、9月のFOMCでの利上げ見送りの決定打となることはなく、FRBは引き続き今後の経済指標を見ながら最終的な判断を固めるだろう。他方、9月の利上げが実施されようと見送られようと、その後の追加利上げ観測はなお残る形となるだろう。
日本の市場も含め、金融市場に大きな影響を与えるのは、FRBの近い将来の利下げ観測が強まる時であり、そこまではなお距離がある」
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