750品目もの新たな「対ロ禁輸」追加措置 輸出、さらに減少?
政府は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して、半導体などのハイテク製品、工作機械など軍事転用が可能な品目、酒類などについて輸出入を禁じるなど、欧米諸国と歩調を合わせた対ロ制裁措置に踏み切った。
ロシアとの取引がリスクとして認識されつつあったことで、直接的にロシアと取引を行う日本企業は取引の縮小や解消を余儀なくされるケースも出てくるとみられた。
加えて、こうした企業と仕入れや納入などの関係を持つ二次取引先でも代替調達先の確保といった対応を迫られるなど、相応の混乱が想定された。
帝国データバンクは、
「実際には中古車や水産物など制裁対象外の物品を中心に活発に取引された傾向がみられたほか、対ロシアの取引社数も1年間で3割減にとどまり、当初想定されたほどの大きな混乱はみられなかった。欧米のグローバル企業でも、直接的な対ロ制裁の対象外である日用品や製薬分野などではロシアビジネスを続行するケースが多くみられるなど、各企業で対応の足並みが揃っていなかった。
日本企業でも中国や韓国など第三国を経由したロシア産食品を取り扱うケースもあり、取引関係における完全な「脱ロシア」は、1年を経て容易ではない実態も浮き彫りとなっている」
としている。
そうしたなか、政府は8月9日以降、新たに排気量1.9リットル超のガソリン車や繊維製品など、対ロシア輸出額の2割相当、約750品目を新たな禁輸対象とする。
「ロシアとの取引品目が『侵略に重要なすべての品目』へと広がるなか、日本企業の対ロシア取引社数は輸出を中心にさらに減少する可能性がある」とみている。
なお、調査はロシア国内の現地企業などと取引(輸出入)を行う日本企業と、関連するサプライチェーン企業について分析。直接取引(貿易)企業とは、帝国データバンクの調査報告書データから判明したロシア国内の企業(現地法人など)と取引を直接行う企業。二次取引先企業とは、直接貿易企業と取引関係にある企業で、ロシアと間接的な貿易関係の有無は含めていない。なお、取引関係の有無は各調査時点の情報に基づく。
同様の調査は、ロシアによるウクライナ侵攻直後の2022年3月に続き2回目。