地球上での「再生型燃料電池」活用に期待 離島や災害時の避難所などの電力供給源に
月探査のアルテミス計画において、ルナクルーザーは、日本側が「売り込む」だけでなく、米航空宇宙局(NASA)の側にも日本への期待がある。
有人の月面探査は年間最大42日間を予定。月面でのルナクルーザーの寿命は10年で、合計1万キロの走行を目指している。いずれにせよ、トヨタと三菱重工という日本を代表する「モノづくり」企業の技術が融合し、有人の月面探査車が実現すれば快挙に違いない。
今後の展望として、計画通りルナクルーザーが実現した場合、地球上でも活用できるのは「再生型燃料電池」だろう。
月の昼の14日間で水素と酸素を蓄え、夜となる14日間に電力を供給するこのシステムは、船舶のほか、離島や災害時の避難所などの電力供給源として期待できる、とトヨタは説明する。
「水と太陽光があれば、半永久的にランニングコストゼロでカーボンニュートラルのエネルギーを供給できる」という再生型燃料電池は、果たして実用化に向かうのか。
そんな未来技術を含むルナクルーザーの研究開発への期待が膨らむ。(ジャーナリスト 岩城諒)