「上場維持基準」に適合しない状況に
しかし、3月9日にワールド・ベースボール・クラシックの日本戦が始まると、大谷工業の株価はさらに上昇し、連日ストップ高に。この理由について、AIによる株式の自動売買ツールがニュース内に頻出する「オオタニ」という言葉に反応し、買いを入れたのでは、と推測する人もいます。
このような「バブル状態」にもかかわらず、大谷工業はいまピンチを迎えています。それは3月31日時点において、東証スタンダード市場における「上場維持基準」に適合しない状況となってしまったことです。
適合していないのは「流通株式数(1836単位。基準は2000単位以上)」と「流通株式時価総額(9.9億円。同10億円)」「流通株式比率(23.5%。同25%以上)」の3つ。この基準を2025年3月末までにクリアしないと、大谷工業は上場廃止になってしまいます。
これを受けて大谷工業は6月20日に「上場維持基準の適合に向けた計画書」を開示。この中で、会社は「政策保有株式の縮小による株式流通性の向上」と「中期経営計画の策定」を行うとしています。
最も大きな問題は「流通株式比率」が23.5%しかないこと。76.5%は親会社のニュー・オータニや大谷家の親族などによる「政策保有株式」であり、株式市場に流通していないということです。
計画書の開示を受けて、株価は6000円台から1万2000円台に急上昇。現在は9000円台に落ち着いています。この上昇で流通株式時価総額は基準をクリアしましたが、流通株式数と流通株式比率は未達のまま。会社は2025年3月末を目途に、基準のクリアを目指すとのことです。(こたつ経営研究所)