下がらないマンション価格、金利上昇とインバウンド需要で買えない?
その一方で、首都圏のマンション価格は高止まりしている。
一般社団法人 不動産協会が公表している「新築マンション1戸当たり平均価格の推移」によると、首都圏のマンション価格は、2022年の平均価格は6288万円で、前年比0.4%の上昇だった。18年の平均価格が5871万円だったので、5年間で7.1%の上昇だ。
中古マンションの平均価格も同様の動きをみせる。
公益財団法人 東日本不動産流通機構(レインズ)が公表している首都圏の中古マンションの平均価格は、新築よりもさらに大きく上昇。2022年の平均価格は4276万円で前年比10.5%も上がり、18年の平均価格3333万円から28.3%と3割近い上昇となっている。
高値が続くマンション市場で、このまま住宅ローンの金利が引き上がっていくとなると、消費者はますます手が出しづらくなる。
仮に、これまでは頭金がほとんどなくても、金利の低い変動金利型住宅ローンを組んで、返済期間を延ばすことができれば、多少無理してでも希望する物件を購入できた。
しかし、今後は金利負担が増えることで、希望購入価格を下げなければならなくなる。これまで手が届くと思われた、希望する物件が買えなくなるわけだ。
また、希望購入価格を下げてでも買える物件があればいいが、コロナ禍が明けて、再びインバウンド需要が旺盛になれば、物件価格が下がらない可能性もないとはいえない。
物価は上昇、給料はそれを上回ることなく伸び悩み。いま、金利が上がるからといって焦ってマンションを買おうという気にはならないし、そもそも「賃貸で十分」と考える人は一定程度いる。マンション価値が値崩れを起こす場面はあるのだろうか――。