ゲームソフト大手、カプコンの株価が2023年7月27日の東京株式市場で一時、前日終値比914円(16%)高の6578円まで急騰し、上場来高値を更新した。
前日に発表した2023年4~6月期連結決算は、新作ソフトの売れ行きが良いため最終利益が前年同期比約2倍となるなど好調な内容。投資家が好決算をポジティブサプライズと受け止め、買いが集中した。
ソフト販売本数、前年同期比で15%上回る好調ぶり アミューズメント施設事業も回復
それでは決算内容を確認しておこう。売上高は前年同期比73.8%増の438億円、営業利益は約2倍の240億円、最終利益も約2倍の181億円だった。最終利益は同期間(第1四半期)として過去最高を更新した。
人気シリーズの7年ぶりの新作となる「ストリートファイター6」を6月に発売したところ、197万本を販売して好調な滑り出しを見せた。
初心者から熟練者までレベルに合わせてプレイできる操作方法の導入などが世界的に支持されており、新規ファンの獲得にも成功したようだ。
3月に発売した「バイオハザード RE:2」は累計販売本数495万本を記録。4月に発売した「ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション Vol.1 Vol.2」も安定した人気を保ち、132万本を販売した。
この結果、旧作を含めたゲームソフトの販売本数が1350万本と前年同期(1170万本)を15%程度上回った。
ゲームソフトに比べて収益は小さいが、新型コロナの5類移行に伴ってアミューズメント施設事業も回復し、売上高が前年同期比25.3%増の41億円、営業利益が約2倍の3億円だった。
24年3月期の通期見通し、最終利益は前期比8.9%増の400億円見込み 7年連続で過去最高の更新へ
2024年3月期の通期の見通しは据え置いた。現状の予想でも最終利益は前期比8.9%増の400億円と7年連続で過去最高を更新する見込み。
第1四半期だけで最終利益の通期の進捗率は45.4%に達しており、今後の上方修正を投資家が期待している。こうしたことも株価を押し上げる要因となっているようだ。
カプコンは大阪市に本社を置き、2023年で創業40年。創業者の辻本憲三会長の長男、春弘氏が社長を務めている。
代表作は「バイオハザード」や「モンスターハンター」「ストリートファイター」で、格闘系のソフトに強みを持っている。(ジャーナリスト 済田経夫)