2023年8月も食品値上げラッシュ! 乳製品、調味料、冷凍食品...毎日欠かせない必需品ばかり 「値上げ疲れ」家計を襲う「10月の大津波」に戦々恐々

   食品値上げラッシュが止まらない。

   帝国データバンクが2023年7月31日に発表した「『食品主要195社』価格改定動向調査―2023年8月」によると、食品各社が8月に値上げを予定している食品は約1100品目に達し、乳製品や調味料など生活に直結する食品が中心になる。

   値上げ品目数は減少し、ラッシュから「一服」する感があるが、10月には再びピークを迎えるという。当分、「値上げ疲れ」が続きそうだ。

  • 高すぎる食品に買い物をためらう女性(写真はイメージ)
    高すぎる食品に買い物をためらう女性(写真はイメージ)
  • 高すぎる食品に買い物をためらう女性(写真はイメージ)

乳業メーカー「厳しい経営が続く酪農家を支援するため」

   食品各社のプレスリリースによると、8月に値上げされる主な食品は次の通りだ

【乳製品】
●江崎グリコ:BifiX ヨーグルト、ヨーグルト健康、おいしいカスピ海、グリコ牛乳、高原特選牛乳、プッチンプリン、とろーりクリームなど乳製品や菓子、ベビー用食品など合計82品目を約1~18%値上げ。
●明治:明治ブルガリアヨーグルト、明治おいしい牛乳、明治おいしい低脂肪乳、明治特選北海道牛乳など16品目を約1~11%値上げ。
●森永乳業:森永のおいしい牛乳、森永のおいしい高たんぱく高カルシウムなど牛乳類や、ビヒダスプレーンヨーグルトなどヨーグルト類合計15品目を約2~10%値上げ。
●雪印メグミルク:とろけるナチュラルチーズ、北海道練乳、北海道スキムミルク、おいしい雪印メグミルク牛乳など合計88品目を約4~17%値上げ。
【缶詰など】
●マルハニチロ:缶詰商品(サケ・イワシ・ホタテ)・レトルト商品など合計56品を約8~21%値上げ。
【調味料など】
●キッコーマン:料理の素(キッコーマンうちのごはん・デルモンテ洋ごはんつくろなど)36品目、つゆ類(キッコーマン具麺など)7品目、たれ類(すき焼のたれ・焼肉のたれなど)30品目、みりん類(マンジョウ本みりん、キッコーマン料理酒など)24品目、中華調味料(オイスターソース・豆板醤など)5品目など合計105品目を約4~20%値上げ。
●寿がきや食品:SUGAKIYA和風とんこつ鍋つゆ、岐阜タンメン監修塩タンメン鍋つゆなど、つゆ類4品目を約15%値上げ。
●理研ビタミン:リケンのノンオイル青じそなどドレッシング類16品目を11.8%値上げ。
【冷凍食品など】
●はごろもフーズ:素材そのままシーチキンマイルド、シーチキンファンシーなどシーチキン類18品目を約11~15%値上げ。
●井村屋:冷凍食品(井村屋謹製カリーぱん)、冷菓(オーガニックあずきバー)、菓子(和菓子屋のきんつばようかん)、食品(カップおしるこ)など70品目を約2~12%値上げ。

   こういった案配だ。

   なお、乳製品メーカーの中には、「飼料価格の高騰で厳しい経営が続く酪農家を支援するため」と掲げるところもあった。

10月の「酒税法」改正で、ビールの酒税が変わり...この秋は、酒類を中心に値上げ

   帝国データバンクの調査によると、8月に値上げする品目数は1102品目となった。昨年(2022年)8月(2516品目)に比べると4割の水準にとどまり、今年1月以来7か月ぶりに前年同月を下回った【図表】。

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(図表)2023年の食品値上げ(7月31日現在)

   値上げラッシュが一服したかたちだ。これは、昨年(2022年)8月の値上げの大部分を占めた「かまぼこ」や「はんぺん」など、水産練り製品の分野でまとまった値上げがなかったためだ。

   一方で、2023年8月に値上げされる食品は、乳価改定の影響を受けてパック牛乳やヨーグルトなど乳製品のほか、だし製品など調味料やシリアル製品、駄菓子など、多方面にわたる。特に、「調味料」(409品目)が全食品分野で最多だった。鍋つゆ製品や削り節など、だし関連製品を中心に値上げとなった。

   「菓子」(2099品目)は、輸入小麦粉や生乳、粗糖のほか、チョコレートの原料となるカカオ豆など菓子生産に必要な原材料価格が上昇したことが影響した。「原材料」(179品目)が目につくのは、欧州の熱波や干ばつの影響を受けたオリーブオイル製品の大幅な値上げが際立つからだ。

   2023年通年の値上げ品目数は、すでに実施されたものや今後予定するものを含め、累計で3万710品目となった。2022年通年の2万5768品目をもう上回り、年間累計としてはバブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなった【再び図表】。

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値上げ疲れで家計のやりくりが大変(写真はイメージ)

   ところで、9月以降は再び値上げの大波を押し寄せる。

   9月は味噌など調味料や菓子を中心に2014品目が控えているし、10月は日本酒やワインなど酒類を中心に4262品目が予定されている。これは、10月に酒税法の改正により、ビールの酒税が変わるからで、今年4月以来半年ぶりに5000品目超えの値上げラッシュとなる可能性がある。

   10月の平均値上げ率は年内で最も高い17.5%と、大幅な価格引き上げが予定されている。年内の値上げは、原材料価格の急激な価格上昇ペースが落ち着いたことを背景に、10月を最後にいったんピークアウトする見込みだ。

   ただし、電気・ガス代に加え、プラ製包装資材、物流費の増加などのコストアップ要因は残っており、値上げは緩やかながらも断続的に続くとみられる。

消費者が「インフレ」を実感しやすい食品ばかり

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乳製品が一斉に値上げへ(写真はイメージ)

   帝国データバンクではこうコメントしている。

「足元では、高い上昇率が続く食品の値上げに対して消費者の購買力が低下する『値上げ疲れ』が鮮明になっている。特に8月の値上げは、パック牛乳など価格の変動に敏感な(毎日店舗に配送される)日配品が中心で、値上げ品目数以上に消費者が『インフレ』を実感しやすい。
価格の上昇に対する消費者マインドが寛容さを失いつつあり、生活防衛志向や値上げ疲れがより進行する可能性がある。一方、足元では輸入原料を中心に価格の変動が落ち着きつつあり、複数回に及ぶ値上げを実施してきた食品メーカーでは相対的にコスト対応力が高まり、人件費など一部の「値上げ圧力」に ついて吸収が可能となる傾向も出始めている。ただ、ウクライナ産小麦の動向や、電気・ガス料金 の負担軽減策など先行きの不透明感は強く、2024年以降も断続的な値上げが続くとみられる」

(福田和郎)

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