au回線を借りる「ローミング」の拡大、「最強プラン」で契約者数増狙うが... 黒字転換への道のりは遠く、正念場
23年1~3月期の携帯事業の赤字は1026億円(前年同期は1323億円の赤字)で、赤字の縮小も小幅にとどまる。 楽天Gは5月、KDDIのau回線を借りる「ローミング(相互乗り入れ)」の拡大を決めた。
自前の基地局増強による早期の回線借用解消をめざしてきたが、都心部も含め全地域でau回線を使って、屋内や地下などでつながりにくいという他社に劣る通信品質の改善を図る姿勢を鮮明にした。
6月から、データ利用量無制限など「Rakuten 最強プラン」を打ち出し、直近は450万件ほどで頭打ちになっている契約者数の拡大をねらっている。
こうした戦略がどこまで奏功するか。
5月12日に発表した1~3月期決算資料で、目標にしていた携帯事業の23年中の単月営業黒字が「困難」と明記したように、黒字転換の道のりはなお遠い。
財務の傷口がふさげなければ、外部資本を活用するなどを検討する場合でも、不利な条件を飲まされる懸念は消えず、西友HDのような非中核事業のさらなる売却を迫られる可能性も取りざたされる。
楽天Gの経営はまさに正念場を迎えている。(ジャーナリスト 白井俊郎)