日本の大学生、4年間で最も「身に付かなかった」と感じたのは外国語! 文科省「全国学生調査」で判明...小学校から英語教育しているのに(鷲尾香一)

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外国語に関しては、低かった「身に付いた」感

   ところが、大きな課題となりそうなのが外国語だ。英語の授業が経験者の中で有用だったとの回答が最も低かったが、身に付いたかという質問でも、「外国語を読む力・書く力」で身に付いた43.2%、「外国語を聞く力・話す力」では38.6%にとどまっている。(グラフ3)

   「これまでの大学での学び全体を振り返って」の質問では、「そう思う」、「ある程度そう思う」、「あまりそうは思わない」、「そう思わない」を回答の選択肢として質問したところ、「大学が学生に卒業時までに身に付けることを求めている知識や能力を理解している」では、そう思う(そう思う+ある程度そう思う)は79.7%、「大学での学びによって自分自身の成長を実感している」では82.0%と高い割合を示した。

   ただ、「授業アンケート等の学生の意見を通じて大学教育が良くなっている」では、そう思わない(あまりそうは思わない+そう思わない、以下同じ)が50.9%と半数を超えている。(グラフ4)

   政府は2020年から新学習指導要領にもとづいて小学校での英語教育を実施している。しかし、彼らが社会人になるのは、まだまだ先だ。社会人に最も近い大学生が大学教育の中で、外国語に対して「身に付かなかった」と回答が半数以上にのぼっていることは重く受け止める必要があるだろう。

   専門性が高くなれば、それだけ英語などの難易度も上がる。特に、研究開発や技術の分野では多くの論文、資料などは英語で書かれている。日本の国際力を上げるためにも、大学生の語学力の向上は重要なカギになる。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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