グリーンエネルギーを安定供給する「水電解装置」の部品増産で、存在感高まる「東レ」【脱炭素銘柄をねらう】

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成長領域へ4500億円の投資計画

   東レが2023年6月に発行した2022年度報告書「株主のみなさまへ」によると、2050年に向けた「東レグループが目指す4つの世界」として、

(1)地球規模での温室効果ガスの排出と吸収のバランスが達成された世界
(2)資源が持続可能な形で管理される世界
(3)誰もが安全な水・空気を利用し、自然環境が回復した世界
(4)すべての人が健康で衛生的な生活を送れる世界

   ――を掲げている。

   この4つの「世界」の実現のため、新中期経営課題「プロジェクトAP-G 2025」では、基本戦略をより落とし込んだものとして、東レグループのGR(グリーンイノベーション)事業を、SI事業(サステナビリティイノベーション事業)として継承。東レグループの成長領域として、

(1)気候変動対策を加速させる製品
(2)持続可能な循環型の資源利用と生産性に貢献する製品
(3)安全な水・空気を届け、環境負荷低減に貢献する製品

   ――を位置づけた。

   ちなみに、新たにDI事業(デジタルイノベーション事業)も追加している。

   東レは、この「東レグループの成長領域」の部分で、2026年3月期までの3年間で炭素繊維や水素関連などに4500億円の投資を計画している。

   東レは日本を代表する化学繊維メーカーで、衣料・産業用繊維ほか、自動車部品などに使用される樹脂や各種フィルム、炭素繊維複合材、水処理膜、医薬など幅広い事業を展開する。

   なかでも、先端軽量素材の炭素繊維複合材はダントツの世界首位。米国ボーイングの中大型旅客機などに採用されており、新たな成長分野としてEV(電気自動車)に搭載されるリチウム電池用の絶縁材フィルムにも力を入れる。

   7月20日には、東レは米韓拠点で700億円をかけて炭素繊維の生産能力を2割引き上げるという新たな投資計画を発表している。

   東レの株価は、5年の中期チヤートから、750円を軸に上下50円の幅で推移しているようだ。700円を割るような場面があれば、「買い」かもしれない。(石井治彦)

【東レ(3402)】
年初来高値 2023年2月21日●835円20銭
年初来安値 2023年1月13日●719円60銭
直近 終値 2023年7月31日●795円20銭

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