グリーンエネルギーを安定供給する「水電解装置」の部品増産で、存在感高まる「東レ」【脱炭素銘柄をねらう】

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   ギラギラと灼熱の太陽が照りつけて、毎日毎日40度近くまで上昇する温度計に、もう、うんざりだ。

   日本近海の太平洋上で発生した猛烈な台風や線状降水帯による土砂崩れや河川の氾濫など、地球温暖化に起因するとされる異常気象が全国で起こっている。

   そうしたなか、地球温暖化の防止策としてCO2(二酸化炭素)を排出しない太陽光発電や風力発電などの再生可能(グリーン)エネルギーへの期待が高まっている。

   さらに、最近ではグリーンエネルギーでつくった電気を液体水素に変換、貯蔵して必要な時に再度電気に変換する「水素発電(グリーン水素)」が注目を集めているという。その水素をつくるために必要な水電解装置の中核部材を製造しているのが、「東レ」(3402)。なにやら、おもしろそうだ。

グリーンエネルギーを「安定電源」に

   わが国では、東日本大震災までは水力発電に加え、原子力発電がベースロード電源の役割を担ってきた。しかし、福島第一原子力発電所の事故以降、原発の多くが停止している現在、大規模な火力発電が電力供給を支えている。

   その一方で、地球温暖化に起因するとみられる異常気象が全国各地で起こっており、CO2を発生しないグリーンエネルギーの重要性が増している。

   しかし、太陽光や風力などのグリーンエネルギーの発電量は、天候に左右され、グリーンエネルギーの比率が高まるほど、需給バランスの変動幅は大きくなる。安定供給を進めるには、そのバランスの調整という大きな問題を解決する必要がある。

   そこで注目されているのが、「水素発電(グリーン水素)」だ。これにより、気象条件に大きく左右されるグリーンエネルギーを、安定電源として使用することが可能になるという。メリットの多いグリーン水素だが、実用化するには、コスト問題や水素生成のための設備の整備など、幾多の課題の解決が待たれる。

   その水素発電に使う水素を、電気分解でつくる水素製造装置の中核部品を生産しているのが「東レ」だ。2023年3月17日付の日本経済新聞に、「『グリーン水素』部材増産・東レ、製造装置向け・独で能力3倍」の見出しで記事が掲載されていた。水電解装置の中核部品「触媒付き電解質膜(CCM)」を増産する。

   水電解装置は、水の電気分解でグリーン水素をつくる際に使用される。水はCCMを通って電気分解され、水素と酸素に分けられる。ここで水素が回収される。

   2015年に買収したドイツ子会社はCCMの先駆的企業で、長年にわたり研究開発に取り組み、触媒技術に強みを持つ。設備を新設して、23年秋にドイツ工場の生産能力を現在の3倍に引き上げ、稼働を見込む。

   東レはこの部品で50%以上の世界シェアを有する。世界的な「脱炭素」の流れを受けたグリーン水素の製造装置の需要増に対応する。

   東レは電解質膜で主流のフッ化水素膜より生産効率が高く、稼働時の安全性向上につながる炭化水素系(HC)電解質膜を実用化している。ドイツで生産するCCMは、現在はフッ素系膜を使うが、将来はHC電解質膜に切り替えていくとされる。

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