全国的に酷暑の続く8月。仕事中の熱中症対策は十分だろうか?
日本能率協会(東京都港区)が2023年7月26日から28日にわたって東京ビックサイトで開いた「猛暑対策展」には、空調、除湿、工場扇、散水システム、冷却・保冷剤、断熱・遮熱など工事現場や工場での熱中症対策の技術があるメーカー・販売会社のおよそ60社以上が集まった。
これまで猛暑対策展は、コロナ禍で中止を余儀なくされるなか、第9回の開催だった。会社ウォッチ編集部の取材に対して同協会経営企画センター総務広報グループの植草良仁氏は「年々、熱中症対策・猛暑対策の技術は向上していっている。商談も活発に行われており、ビジネスマッチングの場としてこれからも継続していきたい」と話していた。
強力24Vのバッテリーを備えた「空調風神服」! これで野外の作業も快適に!
仕事中の熱中症やそれに伴う事故やケガは労働災害(労災)の対象になるのだという。厚生労働省では、休憩設備の設置や作業時間の短縮、水分および塩分の接種、労働者の健康状態の確認など、仕事中の熱中症対策を呼び掛けている。
そんななか、日本能率協会の実施する猛暑対策展は、全国的に暑くなる6月下旬から9月初旬に気温30度を超える日が続き、日常生活や労働環境に多大な影響をもたらしていることから、暑さに対する課題解決を行うことに特化した専門展示会「猛暑対策展」を行っている。
こうしたなか、展示会場を会社ウォッチ編集部が取材すると、なかでも大きなブースを出していたのがサンエス(広島県福山市)のファン付きウェアの展示だ。
同社のファン付きウェア「空調風神服」の特長は、業界でもめずらしく最高出力24ボルトの日本製のバッテリーを使っていることだ。「弱」(12ボルト)運転ではおよそ12時間の稼働ができ、「強」(24ボルト)の場合でも約5時間から5時間半の稼働ができる、野外作業の多い建設・建築業や運送業、農家の強い味方だ。
同社で特許を取得する風向きを変えられる「ななめファン」を取り入れており、ファンを調整することで、胸方向や背中方向など必要に応じて気流を変えることができるのだという。ファン付きウェアを着る担当者に感想を聞くと、「ビックサイトの中もなかなか暑いが、ファン付きウェアを着ているおかげで、汗が出ないほどに涼しく感じる」という答えが返ってきた。
工場や自動車整備場、倉庫などで活躍!? 移動式冷風機や遮熱塗料にフォーカス!
続いて、会社ウォッチ編集部が向かったのは「ECO冷風機」を展示するサンコー(東京都港区)のブースだ。
サンコーでは、スポットクーラーよりもわずか15%から19%の消費電力で稼働する「ECO冷風機」(Aie Cooler)を販売。プライベートタイプのものから、スタンダードタイプ、大容量タイプまで、さまざまなサイズを取り扱っている。外気から気化熱を利用した「冷却パッド」を通して冷風をファンで送り出すため、通常のスポットクーラーよりも電気代が安く済むようだ。
取り付けも簡単で、これまでに生産工場や自動車整備工場、ビニールハウス、倉庫、市場などで導入実績があるのだという。
担当者の宮入優海氏は「スポットクーラーを販売する会社は各社あるが、弊社の特長は本体の軽さと設置しやすさ、冷風機としての消費電力の低さがポイントです」と話していた。
一方で、工場などの屋根の塗装工事の重要性を教えてくれたのが、シロキコーポレーション(愛知県名古屋市千種区)だ。
商品を説明してくれた取締役統括部長の新野将秀氏は遮熱塗料について、「一般の塗料を塗った工場などの屋根は70度以上にも達するが、弊社の遮熱塗料を塗った屋根では、50度程度まで抑えられる。
天井の低い工場などの場合、屋根が蓄えた熱で作業空間が蒸してしまうこともある。屋根の遮熱は重要だ」と語る。
また、同社の製品ミラクールは、塗膜が特殊顔料と中空セラミックバルーンという成分で、日光を反射し、屋根への熱伝導を抑えられることを紹介。塗装前後の空調設備の消費電力を比較すると、ミラクール塗装前と塗装後で約40%の電力消費を抑えられるという。 さらに、同氏は
「『ミラクール』とポリカーボネート配合遮熱塗料の『AQ1000』は汚れづらい成分で出来ているため、遮熱塗料としての効果を年単位で長持ちさせることができる。工場の高温化や空調の電気代で困っている製造業の人はぜひ弊社に声をかけてほしい」
と呼び掛けていた。
会場にはこのほか、ネッククーラーや水の気化熱で冷やす作業服、ヘルメットに取り付けられるファンなど、さまざまな猛暑対策グッズが並んでいた。