巨大IT企業への課税強化する「デジタル課税」、OECDが条約案 2025年の発効へ、各国の利害も錯綜...焦点は米国の動向

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新ルールでの課税対象...売上高約2.8兆円超、利益率10%超の多国籍企業 全世界でGAFAなど100社程度か

   OECD主導の交渉で2021年秋、136か国・地域(当時、その後増えて143か国・地域)が国際課税の新ルールの創設で合意した。法人税の最低税率を15%にするのと並んで、多国籍企業の「課税逃れ」に歯止めをかけることになり、制度設計の協議を進めていた。

   今回の合意は、多国籍企業の支店や工場など物理的な拠点がなくても、サービス利用者のいる国・地域に課税を認める仕組み。利益が売上高の10%を超えた場合、超過利益の25%に課税する権利を、国・地域ごとの売上比率に応じて配分する――というものだ。

   課税対象は、売上高200億ユーロ(約2.8兆円)超で、税引き前利益率が10%超の多国籍企業。「デジタル課税」というが、米GAFAなど巨大IT企業だけでなく、製薬大手など全世界で100社程度になる見込みだ。原材料費などのコストがかさむ製造業は利益率が10%を超えにくく、対象は限定的だろう。

   日本企業では3メガバンクや通信のNTT、KDDIなど10社程度が直近の決算で条件に該当するが、実際の課税対象になるかは条約発効までに決まる。たとえば金融業は除外されるとみられ、日本勢は数社にとどまるとの見方が強い。

   デジタル課税はどの程度の規模になるのか。

   OECDは対象になる企業の利益は2000億ドル(28兆円)にのぼると試算し、税収が130億~360億ドル増え、主に、これまで課税できなかった中・低所得国が恩恵を受けるとしている。

   これとは別に、最低税率15%が徹底されると、タックスヘイブンなどでの課税逃れができなくなり、世界の法人税収は現在の9%に当たる2200億ドル(約30兆円)の税収増につながるという。

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